今回ご紹介するのは「紫式部(ムラサキシキブ)」という実ものの盆栽。秋になると枝いっぱいに小さな紫色の実をつける様子がとても魅力的で、見ているだけで心が和みます。
自生している紫式部は枝が長く伸びその先に身がなるので盆栽に向いていなさそうですが、品種によっては枝が短くても実がつくものもあり、実は育てやすさもピカイチ。初心者にもおすすめです。
この記事では、紫式部の魅力から育て方、季節ごとの管理ポイントまでしっかり解説していきます。
「育てやすくて、見ごたえのある盆栽を探している!」という方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
基本情報
- 学名:Callicarpa japonica
- 分類:クマツヅラ科ムラサキシキブ属
- 特徴:落葉低木で、秋に鮮やかな紫色の実を多数つけます。枝がよく伸び、剪定や挿し木で増やしやすいのも魅力です。
特徴と見どころ
紫式部は落葉低木で、秋になると鮮やかな紫色の小さな実がたくさんつきます。花は小さく目立ちませんが、実の美しさがとにかく印象的。
自然樹形でも美しい姿になりやすく、コンパクトに仕立てられるのも魅力です。


開花・紅葉・見頃の時期
- 開花:6月〜7月(小さな淡紫色の花が咲きます)
- 実の見頃:9月〜11月
- 紅葉:10月下旬〜11月(黄色〜茶色に変化)
- 落葉:11月下旬〜12月初旬
盆栽を育てる前の準備
必要な道具と資材
- 盆栽鉢(浅すぎず安定感のあるもの)
- 赤玉土(小粒)・腐葉土・軽石
- 鉢底ネット・鉢底石
- 剪定ばさみ・針金(整枝用)
- 肥料(固形や液体)
- ジョウロ・霧吹き
苗木の選び方
園芸店やネットショップで購入する際は、以下をチェックすると良いです。
- 幹がしっかりしていて太い(将来的に味が出る)
- 枝ぶりが左右に広がっている
- 葉に虫食いや変色がない
- 根元からの芽吹きが元気
近縁種の「コムラサキ」は実付きがよく、枝も柔らかく盆栽にしやすいため、こちらもおすすめです。
盆栽の育て方
置き場所
- 春~秋:屋外の日なた(午前中の日が当たる場所が理想)
- 夏:半日陰または遮光ネットで直射日光を避ける
- 冬:霜や寒風を避けられる場所(軒下や簡易温室)
水やり
- 春〜秋:表土が乾いたら朝または夕方にたっぷり
- 夏場:1日2回(朝・夕)必要なことも
- 冬場:1〜2日に1回、土が乾いたタイミングでOK
水はかなり吸う方かなと思っています。水切れが怖いのでしっかり目に水やりをしています。
実がついている時期は特に乾燥に注意!こまめに観察してあげましょう。
肥料
- 4月〜6月/9月〜10月:固形の有機肥料を月1〜2回
- 液体肥料は薄めて2週間に1回でもOK
- 実の色づき時期(9〜11月)は肥料を控えめに
土・植え替え
- 配合例:赤玉土(小粒)8:桐生砂2
- 植え替え時期:2年に1回、3月の新芽が出る前に
- 根の整理は軽めに、太い根は切りすぎないように注意
剪定
- 花後(7月)または落葉後(12月)
- 実がなる枝を残しつつ、混み合った枝や徒長枝をカット
- 自然な樹形を意識しながら、風通しをよくするのがポイント
針金掛け
- 若木の柔らかい枝には軽く針金を掛けて整枝可能
- 冬の休眠期に行うのが理想
- 無理に曲げず、様子を見ながら少しずつ形を整える
季節ごとの管理方法(詳細版)
春(3月〜5月)
春は盆栽が目覚める季節。新芽が出始めて、木全体が動き始めます。
- 3月:植え替えの適期。根の整理や土の更新を。
- 4月〜5月:芽がどんどん伸びるので、込みすぎた部分は軽く剪定。
- 日当たりの良い場所に出し、たっぷりと水を与えましょう。
- 害虫が出始めるので、アブラムシやハダニに注意!発見次第駆除します。
春には新芽の芽摘を中心に作業しますが、実をつけたいときは、花が咲木終わるまで剪定しないようにしています。
初めは花芽なのか葉芽なのかわかりにくいのと、先の枝を切ってしまうと手前の花芽も落ちてしまう可能性があるからです。
写真の青丸のところは花芽があります。徒長していますが、実を楽しみたい年は花が咲き終わるまでは剪定しません。


夏(6月〜8月)
強い日差しと暑さで木にとっては少しストレスの多い時期。
- 直射日光を避けて半日陰や遮光ネット下に移動。
- 朝晩の水やりを欠かさずに。夕方は特に涼しくなってから。
- 花が咲き始めたら、花がら摘みをこまめに行うと実つきがよくなります。
- カイガラムシが発生することもあるので、葉の裏や幹を観察してください。
秋(9月〜11月)
紫式部の主役の季節!実が色づき、美しさがピークに達します。紅葉も綺麗です。
- 肥料は控えめにし、色づきを優先します。
- 実がきれいに見えるように、枯れ葉は取り除いておくと◎。
- 実が落ちないように風の強い日は軒下などに移動。
- 水やりは乾燥させないように気をつけつつ、やりすぎに注意。


冬(12月〜2月)
落葉し、盆栽はお休みの季節に入ります。
- 寒風・霜から守るため、軒下や屋内の明るい場所へ移動。
- 水やりは控えめでOKですが、完全に乾燥させないように注意。
- 剪定・針金かけはこの時期がベスト。作業後は防寒対策を忘れずに。
- 害虫は少ないですが、幹の付け根などをチェックして、卵や虫の越冬を防ぎます。
6. よくあるトラブルと対処法
症状 | 主な原因 | 対処法 |
---|---|---|
実がつかない | 剪定のタイミングが悪い/日照不足 | 花後に剪定を行い、日当たりを改善 |
実が黒ずんで落ちる | 過湿・病気・虫の被害 | 水やりを控えめにし、防虫・殺菌処理を |
葉が縮れて落ちる | ハダニやアブラムシの吸汁被害 | 葉裏をチェックして駆除 |
幹に白い粉や塊がつく | カイガラムシの発生 | 歯ブラシで取り除き殺虫剤を使う |
増やし方(挿し木)
紫式部は挿し木で簡単に増やせます。6月〜7月の梅雨時期が最適です。かなり活着率が良いので、真夏や冬でなければ時期もあまり気にしなくても着くと思います。
- 長さ10cmほどの若い枝を切り取り、葉を2〜3枚残してカット。
- 清潔な挿し木用土(赤玉土小粒など)に挿して、明るい日陰に置きます。
- 土が乾かないように管理すれば、2週間ほどで発根します。
※発根促進剤を使うとより安心ですが、なくても平気です。
僕は紫式部では経験がないですが、挿し木ができるので取り木も簡単にできると思います。
挿し木が簡単にできるので実生も僕はやったことがありません。
よくある疑問
Q. 実を長持ちさせるコツは?
A. 過湿を避け、日当たりを確保すること。風の強い日は屋内や軒下に移すといいです。
Q. 毎年実をつけさせるには?
A. 剪定のタイミングを守る(花後に行う)、花芽をつけた枝を残す、日光にたっぷり当てることが大切です。
Q. 屋内だけで育てるのは可能?
A. 基本的には屋外管理が必須。短期間の鑑賞目的なら室内OKですが、長期間だと元気がなくなってしまいます。
まとめ
紫式部の盆栽は、秋に実る紫色の実がとにかく美しい樹種です。
- 見た目の華やかさと、育てやすさを兼ね備えていて初心者向き!
- 季節ごとの管理をしっかりすれば、毎年かわいい実を楽しめます。
- 挿し木で増やせるので、盆栽仲間におすそ分けもできちゃいます。
小さいのも可愛いですよ。どちらも上の実がついてる写真の木が親木の挿し木です。


ぜひ、おうちに一鉢「紫式部の盆栽」を取り入れて、秋の風情を感じてみてくださいね。