こんにちは、今回は「南天(ナンテン)」の盆栽について紹介します。
南天は昔から「難を転ずる(なんてん)」という語呂合わせから縁起木として愛されてきた植物です。お正月の飾りや庭木でもよく見かけますが、小さな鉢に仕立てて棚場や玄関に置くだけで、和の雰囲気がぐっと引き立ちます。
南天の魅力は、なんといっても四季折々の変化です。春から夏にかけては新緑が爽やかに芽吹き、初夏には可憐な白い花を咲かせます。秋になると紅葉が始まり、冬には赤い実が鮮やかに残ります。この「一年を通して絵になる」樹種は、盆栽の中でも人気の一つです。
また、南天は丈夫で育てやすく、初心者でもチャレンジしやすいのも嬉しいポイント。ただし、実を毎年つけるには剪定のタイミングや肥料の加減など、ちょっとしたコツが必要です。
この記事では、南天の基本情報から育て方、季節ごとの管理方法、よくあるトラブルまで詳しく解説していきます。僕の経験も交えて紹介します。
余談ですが、南天の実に入っている成分が喉に良いらしく、皆さんご存知「南天のど飴」には薬効成分として「南天実乾燥エキス」を配合して、この「南天実乾燥エキス」の働きでせきを鎮め、のどの炎症による声がれや、のどのあれ・のどの不快感・のどの痛み・のどのはれを改善してくれるのだそうです。
※ 棚場の環境や鉢の大きさなどによっても、管理方法は変わりますのでしっかり盆栽を観察しながら調整してください。このブログでは3〜4号鉢の小品盆栽を想定しています。

基本情報
- 学名:Nandina domestica
- 分類:メギ科ナンテン属 常緑低木
- 原産地:日本、中国、インド
- 樹高:庭木では2mほどになるが、小品盆栽では10〜20cmほどで楽しめる
- 特徴と見どころ:
- 細やかな葉が風に揺れる姿が美しい
- 夏には白い花、秋には紅葉、冬には赤い実と鑑賞ポイントが多い
- 縁起木として「鬼門よけ」「難を転ずる」として古くから親しまれる
- 花・実・紅葉の見頃:
- 花:6〜7月頃
- 実:11〜2月頃
- 紅葉:10〜11月頃
盆栽を育てる前の準備
必要な道具と資材
南天を育てるために、以下のものを用意しておくと安心です。
- 浅鉢(3〜4号)
- 用土(赤玉土小粒、桐生砂)
- 剪定ばさみ・芽切りばさみ
- ピンセット(実や枯葉を取るのに便利)
- 化成肥料や有機肥料(玉肥)
- 針金(整枝が必要な場合のみ)
苗木の選び方
- 葉にツヤがあり、虫食いや病気の跡がないもの
- 幹に自然な曲がりや立ち上がりがあるもの
- 実付きの苗は値段が高めですが、観賞価値は抜群
- 初心者はまず、実なしでも丈夫で元気な株から始めるのがおすすめ
盆栽の育て方

置き場所(日当たり・風通し)
南天は半日陰〜日なたまで幅広く対応できます。
- 春と秋:日当たりの良い場所で育てると紅葉がきれい
- 夏:直射日光に当てすぎると葉焼けするので、半日陰に移動
- 冬:寒さには比較的強いですが、霜が当たりすぎると葉が傷むので軒下などで管理
水やりの方法と頻度
南天は乾燥に弱めです。
- 春〜秋:土の表面が乾いたらたっぷり与える
- 夏:乾きやすいので朝夕2回水やりが必要な日もある
- 冬:成長は落ち着くが、実がついているので乾燥しすぎに注意
ポイントは「乾かしすぎないこと」。特に実を楽しみたいときは水切れ厳禁です。
肥料の与え方(種類・時期・頻度)
- 春(3〜5月):緩効性肥料を置き肥で与える
- 夏(花後〜9月):肥料を控えめにしないと実付きが悪くなる
- 秋(10月):リン酸分が多い肥料を与えると実の色づきが良い
- 冬:実を観賞する時期なので肥料は基本的に不要
土選び・植え替え方法
- 用土配合:赤玉土6:腐葉土3:川砂1が基本
- 植え替え時期:3〜4月の新芽が動き出す前
- 頻度:2年に1回程度、根詰まり防止のために行う
- 植え替え時は太い根を整理し、細根を残すとその後の成長が安定します
剪定のやり方と時期
- 春:徒長した枝を切り戻して樹形を整える
- 夏:花後に混み合った枝を間引く
- 冬:実を楽しんだ後、古い枝を切り新しい枝に更新
注意点は「花芽を残すこと」。花芽を切ってしまうと翌年の実が楽しめなくなります。
南天は一度花や実をつけた枝には再びならないのが特徴です。なので花や実が終わった枝は剪定します。ただし花芽まで切ると翌年咲かなくなるので、花芽を落とさないよう剪定するのがコツです。実が落ちた2〜4月頃に、混み合った枝を整理すると病気の予防にもなりますし、翌年も実付きが良くなります。
針金掛け・整枝の方法
南天は自然樹形が美しいので、僕はガッツリ曲げて育ててしまいますが、針金掛けはあまりなわないのが一般的です。

季節ごとの管理方法
春(3〜5月)
- 新芽が出て成長期に入る
- 植え替えや剪定の適期
- 肥料を開始する
夏(6〜8月)
- 白い花が咲く季節
- 半日陰に置いて葉焼けを防ぐ
- 花後は肥料を控えめにして実付きに備える
秋(9〜11月)
- 紅葉が始まり、実が色づき始める
- リン酸肥料を与えて実を充実させる
- 水切れに注意して紅葉を美しく保つ
冬(12〜2月)
- 赤い実を観賞できる時期
- 強い霜から守る
- 水やりは控えめだが乾燥させない
病害虫対策
- アブラムシ:新芽に発生しやすい。早めに薬剤や水で駆除。
- ハダニ:乾燥時に発生。葉水で予防可能。
- 葉枯れ病:風通しが悪いと発生。剪定と置き場所改善で防止。
盆栽の増やし方
- 挿し木:6〜7月に新しい枝を切り、清潔な用土に挿すと発根しやすい
- 実生:赤い実から種を採取してまく。発芽まで時間がかかるが、楽しみも大きい
- 取木:立ち上がりが間延びしすぎた場合に挿し木より安全
- 株分け:大株になった場合、春に根を分けて仕立て直す
よくあるトラブルと対処法
- 実がならない → 花芽を剪定で落とした/肥料の与えすぎ
- 葉が黄色くなる → 日照不足か根詰まり
- 実がしぼむ → 冬場の乾燥が原因
よくある質問(FAQ)
Q. 南天の盆栽は室内で育てられますか?
A. 基本は屋外で管理します。冬に飾る程度ならOKですが、長期間室内に置くのは難しいです。
Q. 南天の実を毎年つけるコツは?
A. 花後に肥料を控えることと、剪定で花芽を残すことがポイントです。
Q. どのくらいで実がなるの?
A. 実付きの苗ならすぐ楽しめます。挿し木や実生から育てる場合は数年かかります。
まとめ
南天の盆栽は、以下のような魅力があります。
- 四季の変化をしっかり楽しめる
- 縁起木として飾れる
- 丈夫で育てやすい
僕も初めて南天を鉢に仕立てた時、冬に赤い実が並んだ姿を見て「こんなに季節を感じられる木はいいな」と感動しました。縁起木としても飾れるので一鉢持っておくと本当に重宝する樹種です。
ぜひ皆さんも南天の盆栽に挑戦してみてください。