今回は「榎(エノキ)」の盆栽についてご紹介します。
榎は日本の里山や神社の境内などでよく見かける落葉高木で、樹齢数百年を超える大木も珍しくありません。「榎の大樹の下には人が集まる」と言われるくらい、昔から身近な存在であり、どこか懐かしさを感じる樹です。公園などでも良く見かけます。
そんな雄大な榎を小さな鉢で楽しめるのが盆栽の魅力。芽吹きが旺盛で葉も小さめ、枝作りがしやすいので、雑木盆栽の入門にもおすすめです。
盆栽にすると 春のやわらかな新緑、秋の黄金色の紅葉 といった四季の変化を楽しめるのが大きな魅力です。芽吹きが旺盛で枝作りもしやすいため、雑木盆栽の入門にもおすすめです。
欅より葉が薄く柔らかいので、優しい感じがします。黒松と赤松のような感じで、欅は力強く、榎は優しげな感じです。枝姿や枝のほぐれ方は欅みたいで、僕は箒作りにすることが多いです。
この記事では、榎の基本情報から育て方、季節ごとの管理方法、増やし方、トラブル解決まで詳しく解説します。僕の実体験も交えているので、これから榎を育ててみたい方にとって参考になるはずです。
※ 棚場の環境や鉢の大きさなどによっても管理方法は変わりますので、しっかり観察しながら調整してください。このブログでは3〜4号鉢の小品盆栽を想定しています。

基本情報
- 学名:Celtis sinensis
- 分類:ニレ科エノキ属・落葉高木
- 特徴と見どころ
- 自然界では20mを超える大木に育つ
- 葉は丸みがあり小さめで盆栽向き
- 成長が早く芽吹き旺盛、細かい枝を作りやすい
- 古木感のある樹皮の荒れが魅力的
- 見頃の時期
- 新緑:4〜5月(柔らかな緑が美しい)
- 黄葉:11月(黄金色に染まる)
盆栽を育てる前の準備
必要な道具と資材
- 赤玉土小粒(基本用土)
- 桐生砂や軽石(通気性・排水性を補う)
- 剪定ばさみ、芽摘み用ハサミ
- ピンセット(雑草や枯葉取りに便利)
- 針金(枝の整枝用)
- 有機肥料(油かす、バイオゴールドなど)
苗木の選び方
- 幹がしっかりしていて、曲がりや傷がなさそうなもの
- 箒作りにしやすそうな枝が二股に分かれているもの
- 根元に力強さがあるもの
- 枝が低い位置から出ていると樹形を作りやすい
- 実成りを狙うなら、雌雄の株を確認できるとベスト

盆栽の育て方
置き場所(日当たり・風通し)
榎は太陽が大好きです。基本は一日中よく日の当たる屋外がベスト。ただし真夏の直射日光は葉焼けすることもあるので、昼だけ遮光ネットを使うのもおすすめです。
水やりの方法と頻度
- 春〜秋は乾いたらたっぷり与える。鉢底から水が出るまでしっかり。
- 真夏は朝夕2〜3回の水やりが必要になる日も多いです。僕の棚場では35℃を超える日は必ず朝、昼、夕方に与えています。
- 冬は乾きにくいので、土の表面がしっかり乾いてから与えるくらいでOK。
肥料の与え方
- 春(芽吹き後〜梅雨前)と秋(9〜10月)にしっかり与える
- 夏は高温で根が弱るので控えめに
- 置き肥は2〜3週間ごとに交換
- 液肥を月1回ほど与えると枝がよく分かれて樹形作りがしやすくなる(濃すぎると枯れるので注意)
土選び・植え替え方法
- 配合例:赤玉土8:桐生砂2
- 植え替え適期は3月。2年に1回を目安に。
- 根は細かくよく伸びるので、古い根を整理しながら植え替えると根張りが良くなる。
僕は土はもとから配合されたものを使っています。
剪定のやり方と時期
- 芽摘み:春〜秋に芽が伸びすぎたら、葉を2〜3枚残して摘む
- 夏剪定:6〜7月に込み合った枝を整理、真夏は切らない(芽摘みはします)
- 秋剪定:黄葉後に不要枝を整理
- 冬剪定:落葉期に強剪定で骨格作り
針金掛け・整枝
- 榎は成長が早いので、針金は数ヶ月で食い込むことも多いです
- 若い枝に春先〜夏前に軽くかけ、形を整える程度に使うとよいです
季節ごとの管理方法
春(3〜5月)
- 芽吹きが力強いので、伸びすぎる前に芽摘みで枝数を増やす
- 植え替えはこの時期に済ませる
- 新芽はアブラムシがつきやすいので注意


夏(6〜8月)
- 葉がよく茂り、樹形が乱れやすいので剪定でバランスを整える
- 乾燥が激しいので朝夕2回の水やり
- 真夏は西日を避けるか遮光ネットを利用
- ハダニ・ハマキムシなどの害虫が出やすい
秋(9〜11月)
- 黄葉を楽しめる時期
- 肥料をしっかり与えて翌年の芽吹きに備える

冬(12〜2月)
- 完全に落葉し休眠期
- 強剪定・針金掛けの好機
- 凍結に注意し、寒風が強い日は棚下や軒下に移動
- 水やりは控えめ、2日に1回程度

盆栽の増やし方
- 挿し木:5〜6月の新芽で発根率高め。2ヶ月ほどで根が出る。
- 取り木:枝を剥ぎ、ミズゴケを巻けば秋に発根。
- 実生:秋の実を採取し、春にまくとよく発芽する。大木感を出したい方には実生育成が面白い。僕の榎は公園でタネを拾ってきた実生とそれから挿し木にした素材が多いです。
よくあるトラブルと対処法
- 葉が黄色くなる → 水切れ、肥料切れ。水や肥料を見直す。
- 葉が縮れる・白い斑点 → ハダニ。霧吹きや薬剤で対処。
- 葉が丸まる → ハマキムシ。見つけ次第取り除く。
- 枝が徒長する → 芽摘み不足。成長期はこまめに抑える。
芽吹きが良くない・枯れてしまう原因
榎は丈夫な樹ですが、ときどき「芽吹きが悪いまま枯れてしまう」ことがあります。僕の経験や仲間の話をまとめると、以下の原因が考えられます。
- 根詰まり:長年植え替えをしていないと根が鉢いっぱいになり、新しい芽が出にくくなる
- 寒害・凍害:冬に根が凍ると春に芽吹かないことがある
- 水切れ:芽吹き期に水切れすると新芽が萎れやすい
- 剪定の失敗:枝を強く切りすぎると芽が吹かず、そのまま枯れ込むことがある
- 肥料不足や弱り:前年に肥料を切らしていると春の力が弱い
- 病害虫:根や幹に病気が入ると芽が出ないまま枯れる
芽吹き不良を防ぐには、2年に1回の植え替え、冬の防寒、芽出し期の水管理が大切です。
榎で発生しやすい病気
榎は比較的強健ですが、雑木盆栽によくある病気には注意が必要です。
- うどんこ病
- 症状:葉に白い粉を吹いたようなカビが広がる
- 原因:風通し不足、高温多湿
- 対策:風通しの良い場所に置き、発症したら病葉を取り除き殺菌剤を散布
- 炭疽病(たんそびょう)
- 症状:葉に黒い斑点が出て枯れ込む
- 原因:雨による飛散、蒸れ
- 対策:梅雨時期は雨除けをする、発症した葉はすぐに処分
- 立枯れ病
- 症状:枝先が急にしおれ、そのまま枯れ込む
- 原因:根傷みや水の停滞
- 対策:用土の排水性を改善、症状が出た枝は切り戻す
- 根腐れ
- 症状:芽が出ない、幹がやせて枯れる
- 原因:水のやりすぎ、排水不良
- 対策:植え替えで用土を更新し、根を整理
病気は「風通し」「適切な水やり」「雨除け」でかなり防げます。僕の棚場でも、梅雨時期に雨ざらしにしていた鉢に炭疽病が出てしまったことがあります。それ以来、6月〜7月は雨よけを意識するようになりました。
病気は予防が大切です。油断すると病気になって枯れてしまうので、薬剤散布は必ずすることにしています。一度、病気で何鉢も枯らしてしまった経験があります。。。
よくある質問(FAQ)
Q. 榎は実がなりますか?
→ 雌雄異株なので単独では難しい場合があります。周囲に異性株があると結実しやすいです。
Q. 盆栽初心者でも大丈夫?
→ 榎は芽吹きが旺盛で丈夫。雑木盆栽の中でもかなり育てやすい部類です。
Q. どんな樹形が似合いますか?
→ 僕は箒作りが好きですが、お好みで他の樹形もありだと思います。
まとめ
榎(エノキ)は、雄大な雑木の姿を小さな鉢で表現できる魅力的な樹種です。
- 春は芽摘みと植え替え
- 夏は水やりと葉焼け対策
- 秋は肥料と黄葉観賞
- 冬は強剪定と凍結対策
コツコツ育てれば枝がほぐれて良い気になると思います。
僕自身、榎を育てることで「大木の風格を小品で再現する面白さ」を実感しています。丈夫で育てやすいので、ぜひ挑戦してみてください。