今回は春の花と秋の実、どちらも楽しめる「深山海堂(ズミ)」の盆栽をご紹介します。
ミヤマカイドウは、春に淡いピンク(ほぼ白)の花が咲き、秋には赤く可愛い実をたくさんつけてくれる、花と実の両方が楽しめる欲張りな樹種。盆栽にするとその魅力がギュッと凝縮されて、お部屋や庭先で四季を感じらる樹種です。
この記事では、初心者の方でも安心して育てられるように、ミヤマカイドウの基本情報から育て方、季節ごとの管理方法まで、紹介します。

基本情報
- 学名:Malus baccata var. mandshurica
- 分類:バラ科リンゴ属
- 特徴と見どころ:春に咲く薄紅色の小さな花は、桜のように可憐。秋になると直径1〜2cmほどの赤い実を枝いっぱいに実らせ、その姿はまるでミニチュアのリンゴの木。花も実も楽しめるのがミヤマカイドウの最大の魅力です。
- 開花時期:4月中旬〜5月上旬
- 実の見頃:9月下旬〜10月中旬

盆栽を育てる前の準備
必要な道具と資材
- 剪定バサミ:細かい枝や花後の剪定に
- 盆栽用ピンセット:古葉や小さな雑草の処理に
- 針金:整枝用(初心者は柔らかいアルミ線がおすすめ)
- 鉢と受け皿:通気性の良い鉢を選ぶと根腐れを防げます
- 盆栽用用土:赤玉土(中粒〜小粒)、桐生砂のブレンド
- 肥料:固形肥料(有機肥料)、液体肥料(リン酸強めのものも用意)
苗木の選び方
- 枝ぶりが自然で、幹にしっかりと太さがあるものが◎
- 葉の色が鮮やかで、病害虫の被害が見られないもの
- 「一才ミヤマカイドウ」と呼ばれる実つきの良い品種は初心者にもおすすめ
ウチにある深山海堂は姫林檎の交配用にホームセンターで買ったもです。
庭木用のものを買った(盆栽として買うより安いので)ので、幹は太いですが、立ち上がりがまっすぐです😅
ゆっくりのんびり盆栽になってくれたらなと思っています。



今はその深山海堂からとれた種子から実生でもうひと鉢育てています。
盆栽の育て方
置き場所(日当たり・風通し)
- 基本は屋外のよく日の当たる場所で育てます
- 花や実をしっかりつけるためにも日照は重要です
- 夏場は半日陰に移動させて、強い西日を避けましょう
- 風通しの良い場所で管理すれば病気の予防にもつながります
水やりの方法と頻度
- 春・秋:表土が乾いたらたっぷりと
- 夏:朝と夕方の2回を目安に、特に鉢が小さい場合は乾きやすいので注意
- 冬:休眠期なので、土が乾いてから数日後に軽く与えるくらいでOK
ポイントは「水やり3年」とも言われるように、見た目よりも“土の状態”で判断することです。
深山海堂は水をよく吸う樹種です。水切れには注意して下さい。
肥料の与え方(種類・時期・頻度)
- 花後と実がなったあと、そして秋の成長期(9〜10月)に固形肥料を置きます
- 液体肥料は薄めて2週間に1回程度
- 肥料の与えすぎは枝が暴れてしまう原因になるので注意!メリハリをつけて
僕はバイオゴールドや超発酵油かすと花物なので花が咲き終わったあとにリンが多めに含まれているIB肥料を使っています。
土選び・植え替え方法(用土の配合・タイミング・手順)
- 用土のおすすめ配合:赤玉土8:桐生砂2:水切が怖いので赤玉多めで良いと思います。
- 植え替えの適期は3月上旬〜3月中旬。花芽が動き出す直前がベストタイミングです
- 植え替え時は古い根を1/3程度カットし、新しい土に植え付けます
土に関してはクレイキング(雑木用)が便利なので僕はそれを使うことが多いです。
剪定のやり方と時期(基本と注意点)
- 剪定は花が終わった直後(5月頃)に行いましょう
- 実を楽しみたい場合、夏以降の強剪定は控えめに
- 冬の間は軽い整枝のみ。枝を切りすぎると翌年の花芽が減ってしまいます。冬に剪定した場合は霜に当てないように注意です。真冬の剪定は避けましょう。
針金掛け・整枝の方法(必要な場合のみ)
- ミヤマカイドウは比較的曲げやすい樹種ですが、真冬の枝が硬い時期は針金で曲げると折れることがあるので冬には触らないようにします。
- 無理に曲げようとせず、自然な枝ぶりを活かすのが◎
季節ごとの管理方法
春(3月〜5月)🌸
- 芽吹きから開花まで、最も成長が活発な時期!
- 植え替えや整枝のタイミングはこの時期がベスト
- 開花期は水切れ注意。鉢が軽くなったら即給水が目安です
夏(6月〜8月)☀️
- 高温と乾燥、両方に注意が必要
- 半日陰に移動させ、朝晩2回の水やりを心がけましょう
- 害虫(アブラムシ、ハダニ)やうどんこ病が出やすい季節。こまめにチェック&防除が大切です
秋(9月〜11月)🍁
- 実が赤く色づく時期。盆栽としての見ごたえが一番あります!
- 肥料は実が熟してから与えるようにすると、実落ちを防げます(緩効性の肥料はあまり気にしすぎる必要はなし)
- 落葉が始まったら、冬に向けて水やりを少しずつ減らしていきます

冬(12月〜2月)❄︎
- 休眠期に入り、水は2日に1回程度でも十分
- そこまで気にする必要はありませんが、鉢を軒下などに移動するか、不織布などで保護しましょう
病害虫対策🐛
- アブラムシ:新芽や若い葉に発生しやすい。発見したら殺虫スプレーや指でつぶして対応
- うどんこ病:白い粉状のカビが葉につく病気。風通しを良くし、発生時は殺菌剤を散布
- 黒星病:カビ系の病気で、葉っぱに黒い斑点がポツポツと出てきる。風通しの悪さや、葉っぱが濡れたまま長時間放置されることが原因になるので、雨の多い時期は注意!発生時は殺菌剤を散布
- カイガラムシ:枝に硬い殻を持つ虫が張りついている。見つけたらブラシでこすり取るか、専用薬剤で駆除
こまめな観察が、病気や虫の早期発見・早期対応につながります!
盆栽の増やし方
挿し木
- 5〜6月に若い枝をカットし、水に挿して発根させます
- 半日陰で管理し、湿度を保つことが成功のコツ
取り木
- 春に元気な枝に水苔を巻いて発根を促し、秋〜翌春に切り離す方法
- 親木の良い特徴を受け継げるのが魅力です
実生(みしょう)
- 秋に落ちた実から種を取り、春に種まき
- 成長に時間はかかりますが、自分だけの一鉢を育てる喜びは格別!
僕はホームセンターで買ってきた親木からとれた種子で実生も挑戦中です。
よくあるトラブルと対処法
症状 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
葉が黄色くなる | 根詰まり・水不足・水の与えすぎ | 植え替えまたは水やりの見直し |
花が咲かない | 剪定のタイミングミス・日照不足 | 花後すぐに剪定&日光をしっかり確保 |
実がならない | 花が咲いても受粉できていない | 他のミヤマカイドウを近くに置いて受粉を促す |
葉が黒くなる | 黒星病(真菌) | 風通し改善と殺菌剤の使用 |
まとめ
今回は、花と実を同時に楽しめる贅沢な盆栽「深山海堂(ミヤマカイドウ)」について、詳しくご紹介しました。
- 春は桜のような花、秋は赤く愛らしい実が魅力
- 日当たりと水やり管理が成功のカギ
- 害虫や病気に注意しながら、四季折々の姿を楽しめる
初心者にも扱いやすく、育てるたびに愛着が湧いてくるミヤマカイドウ。盆栽を始める第一歩として、とてもおすすめの樹種です。
あなたもぜひ、お気に入りの鉢にミヤマカイドウを迎えて、日々の暮らしの中に小さな季節の変化を取り入れてみてくださいね。