もみじの盆栽って、四季の変化を楽しめる素敵な趣味ですよね。春には新緑、夏は青々とした葉、秋には鮮やかな紅葉、冬には落葉して静かな美しさを見せてくれます。自然の移り変わりを自宅で感じられるのが魅力です。
「盆栽って難しそう…」と思うかもしれませんが、コツをつかめば初心者でも十分楽しめます。特にもみじは繊細な手入れをしながら育てる過程が楽しいんです。
この記事では、もみじの盆栽の基本から育て方、お手入れ方法、トラブル対策まで詳しく紹介します。これからもみじの盆栽を始める方も、すでに育てている方も、ぜひ参考にしてください!
※ 棚場の環境や鉢の大きさなどによっても、管理方法は変わりますのでしっかり盆栽を観察しながら調整してください。このブログでは3〜4号鉢の小品盆栽を想定しています。

もみじの基本情報
- 学名:Acer palmatum
- 分類:ムクロジ科カエデ属
- 特徴:落葉高木または低木で、秋になると赤・橙・黄色に美しく紅葉する日本を代表する樹種です。葉は掌状に裂け、四季折々の変化が楽しめるため、庭木・盆栽・公園樹として人気があります。特に秋の紅葉は見どころで、気温差が大きいほど鮮やかな色づきを見せます。繊細な枝ぶりと葉姿は、盆栽としても高く評価されています。
もみじは、秋の紅葉が美しいことで知られていますが、盆栽として育てることで、四季折々の変化をさらに身近に楽しめます。
もみじとは?
もみじという名前は特定の品種を指すものではなく、カエデ属のうち、葉が細かく裂けているものの総称です。代表的な種類には「イロハモミジ」「ヤマモミジ」「オオモミジ」などがあり、いずれも盆栽に適しています。
もみじの原産地と生育環境
もみじは日本をはじめ、中国や韓国などの温帯地域に分布しています。涼しい気候を好むため、夏の強い直射日光や乾燥には注意が必要ですが、基本的には丈夫で育てやすい樹木です。
盆栽向きのもみじの種類
盆栽として育てられている種類をいくつか紹介します。
- イロハモミジ:最も一般的なもみじで、葉の形が繊細で美しく、紅葉の色の変化が楽しめます。成長が穏やかで盆栽向き。
- ヤマモミジ:山地に自生する品種で、比較的丈夫。自然な風情を楽しめるため、初心者にもおすすめ。
- オオモミジ:葉が大きめで存在感があり、迫力のある樹形を作るのに向いています。
さらに、盆栽に適した特徴的な品種として、以下のものも人気があります。
- 出猩猩モミジ:葉が深い赤色から鮮やかな紅色に変化するのが特徴で、紅葉時期の美しさが際立ちます。新芽も赤みを帯びているため、春から秋まで季節ごとに異なる色合いを楽しめます。成長はゆっくりで、繊細な枝ぶりが盆栽に適しており、特に華やかな印象の樹形を作りたい方におすすめです。
- ナガラガワモミジ:葉が非常に細かく繊細な形をしており、紅葉の美しさが格別。風情のある枝ぶりが特徴で、上品な雰囲気の盆栽を作りたい方におすすめ。
- ノムラモミジ:春から秋にかけて葉が赤紫色をしているのが特徴。紅葉の時期だけでなく、年間を通して美しい色合いを楽しめる。
- 舞姫:葉が小さく、コンパクトな樹形を作りやすいため、ミニ盆栽向き。枝が細かく分かれるので、繊細でかわいらしい印象に。
- 清姫:背があまり高くならず、横に広がる樹形になりやすい。新芽が黄緑色で、成長するにつれて鮮やかな緑に変わり、紅葉も美しい。
もみじの種類によって、葉の大きさや色合い、樹形の特徴が異なるため、自分の好みに合ったものを選ぶのも楽しみのひとつです。次は、もみじの特徴と分類について詳しく見ていきましょう。
盆栽としての適性と人気の理由
もみじは庭木としても人気がありますが、盆栽として育てることで、さらに魅力を楽しむことができます。では、なぜもみじは盆栽向きの樹木として愛されているのでしょうか? ここでは、もみじの盆栽としての適性と人気の理由について紹介します。

四季折々の変化を楽しめる
もみじ盆栽の最大の魅力は、季節ごとに異なる姿を見せてくれることです。
春:芽吹きの美しさを楽しむ
春になると、もみじの新芽がふんわりと開き始めます。この若葉は種類によってほんのり赤みがかったり、黄緑色だったりと、さまざまな色合いを楽しめます。日々変化する姿を眺めるのは、育てる喜びを感じる瞬間です。
夏:涼しげな緑を楽しむ
夏は、青々と茂った葉が涼しげな雰囲気を演出してくれます。もみじは繊細な葉を持っているため、夏の直射日光が強すぎると葉焼けを起こしてしまうことも。適度な遮光をしながら、元気に育つ姿を楽しみましょう。
秋:紅葉のピークを迎える
もみじといえば、やはり秋の紅葉が最大の見どころです。気温が下がるにつれて、葉の色が黄色やオレンジ、真紅に変化していきます。美しい紅葉を楽しむためには、夏から適切な管理をして、良い環境を整えておくことがポイントです。
冬:落葉後の静かな美しさ
冬になると、もみじはすべての葉を落とします。ちょっと寂しい気もしますが、葉を落とした後の枝ぶりをじっくり観察できるのが冬ならではの楽しみ方。樹形を整えるための剪定をしたり、次の成長の準備をするのに適した時期でもあります。
もみじの盆栽は、季節の移ろいをじっくり感じながら育てる楽しさが魅力です。一年を通して表情を変えるもみじを、自分好みに育てていく喜びをぜひ味わってみてください!
繊細な葉の美しさ
もみじの葉は種類によって形が異なり、特に盆栽向きの品種は小さな葉を持つものが多いです。細かく裂けた葉が風に揺れる姿は、風情があり、見ているだけで癒されます。
樹形の作りやすさ
もみじは比較的枝が細かく分かれるため、剪定や針金かけによって美しい樹形を作りやすいというメリットがあります。特に、ミニ盆栽や小品盆栽にも適しており、限られたスペースでも育てやすいのが魅力です。
育てやすく、初心者にも向いている
もみじは比較的丈夫な樹種で、基本的な管理を守れば初心者でも育てやすい盆栽です。特に、以下の点が初心者向きといえます。
- 日本の気候に適しているため、環境に馴染みやすい
- 強剪定にも耐え、形を整えやすい
- 増やしやすく、挿し木や取り木で繁殖も可能
和の風情を感じられる
もみじは日本の伝統的な庭園や風景に欠かせない存在です。盆栽として仕立てることで、和の趣を強く感じられ、自宅で小さな日本庭園を楽しむような感覚が味わえます。和室の飾りとしてもぴったりです。
もみじの盆栽は、四季の移ろいを楽しみながら、じっくりと育てる楽しみがあるのが魅力です。
必要な道具と準備

もみじの盆栽を育てるには、適切な道具と環境を整えることが大切です。初心者でも扱いやすい基本的な道具を揃え、準備をしっかり整えましょう。
初心者がそろえるべき道具
もみじの盆栽を育てるために、最低限必要な道具を紹介します。
剪定バサミ
- 枝を整えたり、不要な芽を切るために使用します。
- 切れ味が良いものを選ぶと、樹木に負担をかけずに済みます。
ピンセット
- 細かい作業に便利で、不要な葉や芽を摘むのに役立ちます。
- 盆栽用の先の細いものが扱いやすいです。
盆栽用の土
- もみじは水はけと保水性のバランスが重要なため、適した土を使用します。
- 赤玉土・桐生砂・腐葉土などをブレンドすると最適な環境を作れます。
鉢(盆栽鉢)
- 盆栽専用の鉢を使用し、サイズや深さを適切に選びます。
- もみじの成長に合わせて鉢の大きさを変えていくのも大切です。
根かき(竹べら・熊手)
- 植え替え時に根をほぐすために使用します。
- 竹製のものは木の根に優しく、初心者にも扱いやすいです。
針金(アルミ線や銅線)
- 枝を希望の形に誘導するために使います。
- アルミ線は柔らかく初心者向き、銅線はしっかり固定したいときに適しています。
ジョウロ(ハス口付き)
- 均一に優しく水を与えるため、細かいシャワー状の水が出るジョウロが最適です。
植え付け前の準備
もみじの盆栽を始める前に、以下の準備をしておくとスムーズに作業が進みます。
- 適切な鉢と土を選ぶ
- もみじの成長を考えたサイズの鉢を用意し、排水性と保水性を兼ね備えた土を準備します。
- 剪定の基本を知る
- 盆栽の形を整えるために、どの枝を切るべきかをあらかじめイメージしておきましょう。
- 置き場所を決める
- 日当たりが良く、風通しの良い場所を選ぶことで健康に育てられます。
道具がしっかり揃っていれば、植え付けや手入れがスムーズに進みます。次は、初めての植え付け手順について詳しく解説します!
初めての植え付け手順
もみじの盆栽を始めるためには、正しい植え付け手順を知っておくことが大切です。ここでは、初心者でも簡単にできる基本的な植え付けの方法を解説します。
適切な時期を選ぶ
もみじの植え付けに適しているのは 春(3月~4月)または秋(9月~10月)です。
- 春は新しい成長が始まる時期で、発根しやすい。
- 秋は気温が落ち着いており、根がダメージを受けにくい。
※真夏や真冬は、気温の変化が激しく根が弱りやすいため避けましょう。
必要なものを準備する
- もみじの苗木(園芸店やネットショップで購入可能)
- 盆栽鉢(適度な大きさで水はけの良いもの)
- 盆栽用の土(赤玉土:桐生砂:腐葉土=5:3:2の配合が理想)
- 鉢底ネット(土が流れ出るのを防ぐため)
- 根かき(根をほぐす道具)
- 剪定バサミ(根を整えるため)
- ジョウロ(植え付け後の水やり用)
植え付けの手順
鉢の準備をする
- 鉢の底に鉢底ネットを敷き、水はけを良くするために大粒の赤玉土を1~2cm程度入れる。
苗木の根を整える
- 購入した苗の根をやさしくほぐし、長すぎる根や傷んでいる根を剪定バサミで軽くカットする。
- すでに鉢植えされている場合は、古い土を半分ほど落として新しい土に入れ替える。
土を入れて苗を配置する
- 鉢に盆栽用の土を入れ、苗木を中央に配置する。
- 根が広がるように調整しながら、隙間に土をしっかり入れて固定する。
軽く押さえて安定させる
- 植えた後、土を手で軽く押さえて、苗木がグラグラしないようにする。
たっぷり水を与える
- ジョウロを使い、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげる。
- 植え付け直後は根がデリケートなため、直射日光を避けて半日陰に置くのがおすすめ。
植え付け後の管理ポイント
- 最初の1週間は、乾燥しすぎないように注意しながら水やりをする。
- 2週間ほど経ったら、徐々に日光に慣らしていく。
- 成長が安定するまで肥料は控えめにする。
もみじの植え付けは、正しい手順で行えば初心者でも簡単にできます。次は、もみじを健康に育てるための「育成環境の整え方」について詳しく解説します!
棚場環境の整え方
もみじの盆栽を健康に育てるためには、適切な環境を整えることが大切です。日当たりや風通し、置き場所を工夫することで、美しい葉や紅葉を楽しむことができます。
置き場所の選定
もみじは屋外での栽培が基本です。室内で管理すると光量不足や風通しの悪さで弱ってしまうため、次のような条件を満たした場所を選びましょう。
- 春・秋:日当たりの良い場所に置く(午前中の日光が理想的)。
- 夏:強い直射日光を避け、半日陰や風通しの良い日陰に移動。
- 冬:寒冷地では霜や冷風を避け、軒下や簡易ビニールハウスで管理。
日当たりと風通しの重要性
もみじの盆栽は、十分な日光と風通しがないと、枝が間延びして弱々しくなったり、葉の色づきが悪くなったりします。
- 日当たり:朝日が当たる場所が理想。強い西日には注意。
- 風通し:適度な風が通る環境を確保し、湿気がこもらないようにする。
特に梅雨時期や夏場は蒸れやすくなるため、鉢を少し高い場所に置いたり、周りの植物との間隔を広げましょう。
季節ごとの適切な配置
季節 | 置き場所のポイント |
---|---|
春 | 日当たりの良い場所で成長を促す。新芽の乾燥に注意。 |
夏 | 半日陰や遮光ネットを活用し、葉焼けを防ぐ。水切れに注意。 |
秋 | 紅葉を促すため、朝晩の冷気が当たる場所に移動。 |
冬 | 落葉後は冷風を避け、寒さが厳しい場合は軒下や防寒対策を。 |
育成環境の注意点
- 急な環境変化に注意:置き場所を急に変えると、葉が傷んだりストレスを受けることがあるため、少しずつ慣らす。
- エアコンの風はNG:室内に置く場合、直接エアコンの風が当たると乾燥しすぎて弱ってしまう。
適切な置き場所を選び、環境を整えることで、もみじの美しい姿を一年中楽しむことができます。次は、盆栽の生育に欠かせない「用土の選択」について詳しく解説します!
用土の選択
もみじの盆栽を健康に育てるためには、適切な用土を選ぶことがとても重要です。土の性質がもみじの成長や紅葉の美しさに大きく影響を与えるため、水はけと保水性のバランスを考えた配合を選びましょう。
水はけと保水性を考慮した土の配合
もみじは根腐れを起こしやすいため、「水はけが良いが、適度に水分を保持できる」土が理想的です。基本的な土の配合は次のようになります。
おすすめの配合(土の割合)
赤玉土(小粒) 7:桐生砂 3
- 赤玉土(小粒)(7割):適度な水持ちと通気性があり、盆栽の基本用土として最適。
- 桐生砂(3割):水はけを良くするために配合。根の張りを良くする効果もある。
この配合は初心者でも使いやすく、もみじの健全な成長をサポートします。
市販の培養土の活用法
「自分で配合するのは面倒…」という方は、市販の盆栽用培養土を活用するのも一つの方法です。ただし、市販の土を使う場合は、以下の点に注意しましょう。
- 水はけを良くするために、赤玉土や軽石を少し混ぜる
- 「クレイキング」など、雑木向けの土を選ぶのがおすすめ
また、植え替えの際は古い土をしっかり落としてから新しい土に植え替えることで、根詰まりを防ぎ、健康な成長を促せます。
水やりの基本
もみじの盆栽を健康に育てるためには、水やりがとても重要です。水が不足すると葉が枯れ、逆に多すぎると根腐れの原因になります。適切な頻度や方法を知って、元気なもみじを育てましょう。
もみじ盆栽の適切な水やりの方法
水やりの基本
- 「土の表面が乾いたらたっぷりと」 が基本。常に湿らせるのではなく、乾燥と吸水のバランスを大切に。
- 鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水を与える。
- 水やりの時間帯は朝か夕方がベスト。特に夏は日中の水やりを避ける。
季節ごとの水やりのポイント
季節 | 水やりの頻度と注意点 |
---|---|
春(3月~5月) | 新芽が出る時期。1日1回〜2回を目安に土が乾いたら水やり。 |
夏(6月~8月) | 乾燥しやすいので、朝夕の2回水やりが必要なことも。直射日光が強い時間帯は避ける。 |
秋(9月~11月) | 気温が下がるにつれ、徐々に回数を減らす。紅葉を促すためにやや乾燥気味に管理。 |
冬(12月~2月) | 落葉後は成長が鈍るため、水やりは2~3日に1回でOK。土が完全に乾かないように注意。 |
上記はあくまで目安です。水やりの回数は鉢の大きさや棚場の環境によっても変わりますので、「土の表面が乾いたらたっぷりと」やることが重要です。
水切れや過湿のサイン
水やりの加減を間違えると、もみじの元気がなくなることがあります。以下のサインに注意しましょう。
- 水切れのサイン(水不足)
- 葉がしおれる、チリチリに乾燥する。
- 葉がカールして縮んでいる。
- 土が白っぽくカラカラになっている。 → すぐにたっぷりと水を与え、半日陰で管理すると回復することが多い。
- 過湿のサイン(水のやりすぎ)
- 葉が黄色く変色し、落ちやすくなる。
- 土が常に湿っていてカビが生える。
- 根腐れが進むと、幹が黒ずんで柔らかくなる。 → 水やりを控え、風通しを良くして土を乾燥させる。
水やりは盆栽管理の中でも最も重要なポイントの一つです。もみじの状態をよく観察しながら、適切な頻度と量で管理しましょう!
季節ごとのお手入れ方法
もみじの盆栽は、季節ごとに適切な管理を行うことで、美しい紅葉や健康な成長を促すことができます。ここでは、春・夏・秋・冬のそれぞれの時期に必要なお手入れ方法を解説します。
春(3月~5月) 新芽の管理と成長を促す
新芽の管理と芽摘みの方法
春は新芽がどんどん伸びる成長期です。樹形を整えるために、以下の作業を行いましょう。
- 伸びすぎた芽は「芽摘み」する(指やピンセットで新芽を摘み取る)
- 樹形を崩す勢いのある枝は早めに剪定してバランスを整える
- 細かい枝分かれを促すために、伸びすぎた新芽は2~3節残してカット
適切な水やりと肥料の与え方
- 水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与える
- 肥料は4月頃から有機肥料(固形タイプ)を月に1回施す(液体肥料なら2週間に1回)
- 肥料は与えすぎると葉が大きくなりすぎるため、控えめが基本
夏(6月~8月) 強い日差しと乾燥対策
葉焼け防止のための遮光対策
夏の強い日差しは葉焼けの原因になります。
- 直射日光を避けるため、半日陰や寒冷紗(遮光ネット)で管理
- 風通しの良い場所に置き、蒸れを防ぐ
水やりの頻度と注意点
- 朝と夕方の2回水やり(特に猛暑日は乾燥に注意)
- 日中の水やりは避ける(鉢の温度が上がり、根が傷みやすいため)
- 葉水(葉に霧吹きで水をかける)を行うと、乾燥対策に効果的
葉刈りの実施とその効果
- 葉刈り(古い葉を取り除く)を行うと、新しい葉が芽吹き、紅葉が美しくなる
- 7月頃に、健康な葉を半分ほど残し、古い葉を剪定する
- 全ての葉を刈り取る「完全葉刈り」は、木に負担がかかるため注意が必要
秋(9月~11月) 美しい紅葉を促す
紅葉を美しくするための環境調整
- 朝晩の気温差を大きくすると紅葉が鮮やかに
- 9月以降は涼しい夜風に当てるのがポイント
- 室内よりも屋外管理が紅葉を促す
- 水やりを少し控えめにする(土がやや乾燥することで紅葉が鮮やかになる)
剪定と不要な枝の整理
- 紅葉が始まる前に軽めの剪定を行い、不要な枝を整理する
- 交差する枝や内側に向かう枝を剪定し、風通しを良くする
- 込み合っている枝や、紅葉を邪魔する枝を切る
- この時期は強剪定は避け、軽い枝整理にとどめる
冬(12月~2月) 落葉後の管理と防寒対策
落葉後の管理と休眠期の注意点
- もみじは落葉した後、休眠期に入る
- 冬の間は水やりの回数を減らし、2~3日に1回程度に
- 根が凍らないように、寒冷地では軒下や防寒対策(不織布で覆うなど)をする
植え替えのタイミングと方法
- 植え替えは2~3年に1回、休眠期(2月頃)に行うのがベスト
- 古い土を落とし、根を整理して新しい土に植え替える
剪定と樹形の整え方
- 落葉後は枝の構造がよく見えるため、理想の樹形を作るための剪定を行う
- 交差枝、逆さ枝、不要な枝を剪定し、スッキリとした樹形に
- 根元近くの不要な枝を剪定し、幹を強調する
- 剪定後は寒風を避け、しっかり管理する
もみじの盆栽は、季節ごとの管理をしっかり行うことで、健康な成長と美しい紅葉を楽しむことができます。特に春は芽摘みや剪定、夏は遮光対策、秋は剪定、冬は防寒と植え替えなど、それぞれの季節に応じたケアが重要です。
葉刈りと芽摘みの技術
葉刈り(夏の管理)
- 目的:葉を小さくし、紅葉を美しくする
- 適切な時期:6月後半~7月前半
- 葉刈りのやり方:
枝から二股に分かれた葉の片側だけを切る。(樹勢がそこまで乗っていない場合、風通しは良くなりますが、葉の大きさが揃いません)もしくは全ての葉を刈り取る(樹勢が良い場合)
葉刈り後は日陰で管理し、新葉が出るのを待つ(新芽を夏の強い日差しに当てると葉がチリチリになるので要注意です)

写真は半葉刈り、全葉刈りの場合は両方切り全ての葉を取ります。
芽摘み(春の管理)
- 目的:枝の分岐を増やし、繊細な樹形を作る
- 適切な時期:3月~5月
- 芽摘みのやり方:
節から芽が出て葉っぱが別れてきます。
その間から伸びてくる芽を早めに摘みます。(蕾が開きそうになった時点ピンセットを使って蕾を開いて芽を摘んだりもします)


病害虫対策
もみじの盆栽を健康に育てるためには、病害虫の予防と対策が欠かせません。特に、湿気の多い季節や風通しが悪い環境では、病気や害虫が発生しやすくなるため注意が必要です。ここでは、もみじに多い病気や害虫の種類と、それらを防ぐための管理方法を紹介します。
もみじに多い病気とその予防法
もみじ盆栽に発生しやすい代表的な病気はうどんこ病、黒星病、炭そ病、根腐れなどです。それぞれの特徴と対策を確認しましょう。
うどんこ病(白い粉状のカビが発生)
症状:葉や枝に白い粉のようなカビが発生し、光合成が阻害される。
原因:湿気の多い環境、風通しの悪さ。
予防・対策:
- 風通しを良くし、密生した枝を剪定する。
- 早期発見した場合は病気の葉を取り除き、殺菌剤(ベンレートなど)を散布。
- 予防として春と秋に薄めた木酢液を散布すると効果的。
黒星病(葉に黒い斑点が出る)
症状:葉に黒いシミのような斑点ができ、進行すると葉が落ちる。
原因:長雨や高湿度によるカビ菌の繁殖。
予防・対策:
- 梅雨時期には雨よけを設置し、湿気対策をする。
- 発病した葉はすぐに取り除き、枯葉や落ち葉を放置しない。
- ダコニールなどの殺菌剤を定期的に散布する。
炭そ病(葉が茶色く枯れる)
症状:葉の先や縁が茶色くなり、広がると葉が落ちる。
原因:高温多湿の環境。
予防・対策:
- 風通しを良くし、水のやりすぎに注意する。
- 病気の葉を取り除く。
根腐れ(根が腐り、木が弱る)
症状:枝がしおれたり、葉が黄色く変色する。
原因:水のやりすぎ、排水性の悪い土。
予防・対策:
- 水はけの良い用土を使う(赤玉土+桐生砂の配合がベスト)。
- 水やりは 「土の表面が乾いてから」 を徹底。
- 根腐れが進んでしまった場合は、植え替えて古い土を取り除く。
害虫の種類と効果的な駆除方法
もみじ盆栽にはアブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、イラガ(毛虫)などの害虫が発生しやすいです。発生しやすい時期と駆除方法を確認しましょう。
アブラムシ(春~初夏に発生)
症状:新芽や葉の裏に群がり、樹液を吸って弱らせる。
対策:
- 発見したら手で取り除くか、水で洗い流す。
- 殺虫剤(オルトラン、ベニカスプレーなど)を使用。
ハダニ(夏に多発)
症状:葉の裏に発生し、葉が白っぽくなって枯れる。
対策:
- 葉水(霧吹きで葉に水をかける)を行い、乾燥を防ぐ。
- 殺虫剤(ダニ太郎、アーリーセーフ)を散布。
カイガラムシ(枝や幹に付着する白い虫)
症状:幹や枝に白い殻のようなものが付き、樹液を吸って木を弱らせる。
対策:
- 歯ブラシやピンセットでこすり落とす。
- マシン油スプレー(冬季に使用)で予防する。
イラガ(毛虫:夏~秋に発生)
症状:葉を食害し、大量発生すると枝全体が丸坊主になる。刺されると痛みがある。
対策:
- 発生したらすぐにピンセットで除去(素手で触らない)。
- 殺虫剤(スミチオンなど)を散布。
病害虫を防ぐための日常管理のポイント
病害虫を予防するためには、日々の管理が大切です。以下のポイントを意識して、健康なもみじ盆栽を育てましょう。
✅ 風通しを良くする(剪定で枝の込み合いを防ぐ)
✅ 葉水を行い、乾燥と害虫の発生を抑える
✅ 病気の葉や害虫を早期発見し、すぐに対処する
✅ 月に1回、殺菌・殺虫剤を予防的に散布する(ベニカXなど)
✅ 落ち葉や古い土を放置せず、清潔な環境を保つ
もみじの盆栽は、美しく育てるために 病害虫対策が欠かせません。
- うどんこ病、黒星病、炭そ病、根腐れなどの病気は風通しと水管理が鍵。
- アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ、イラガなどの害虫は定期的なチェックと駆除が大切。
- 日頃の管理をしっかり行い、病気や害虫を早めに発見して対処することが重要。
盆栽の増やし方
もみじの盆栽は、種から育てる実生(みしょう) や、枝を使う挿し木、幹の一部から根を出す取り木という方法で増やすことができます。それぞれの方法にメリットがあり、自分の目的に合った方法を選ぶとよいでしょう。
実生(種から育てる方法)
実生とは?
実生とは、もみじの種を蒔いて発芽させ、苗木を育てる方法です。時間はかかりますが、根張りが強く、しっかりとした幹の盆栽が作れるのが魅力です。
適切な時期
- 種の採取:秋(10月~11月)に紅葉が終わった頃、茶色く熟した種を採取。
- 発芽の準備:冬(12月~1月)に低温処理(休眠打破)を行う。
- 播種(種まき):春(2月~3月)に種を蒔く。
必要な道具
- もみじの種
- 培養土(赤玉土+鹿沼土)
- 鉢や育苗トレー
- 低温処理用のジップロックや湿らせたミズゴケ
実生の手順
種の採取と乾燥
- 秋にもみじの木から種を採取し、1週間ほど風通しの良い場所で乾燥させる。
低温処理(休眠打破)
- 冬になる前に水に24時間浸けて吸水 させる。
- 湿らせたミズゴケと一緒にジップロックに入れ、冷蔵庫(5℃前後)で1~2ヶ月保存。(冬に土に種まきしてもOKです。)
春に播種(種まき)
- 2月~3月頃、土を入れた鉢に種を並べ、 軽く土をかぶせる。
- 乾燥しないように水やりをこまめに行う。
発芽後の管理
- 1ヶ月ほどで発芽するため、半日陰で育てる。
- 双葉がしっかりしたら間引きをして元気な苗を残す。
成功させるためのコツ
- 低温処理をしっかり行うと発芽率が上がる。
- 土が乾かないように注意する(発芽前は特に大切)。
- 発芽後は直射日光を避け、ゆっくり成長させる。
挿し木による増殖方法

挿し木とは?
挿し木は、枝を切って土に挿し、新しい根を出させる方法です。親木と同じ性質を持つ盆栽を増やすことができるのが魅力です。
適切な時期
- 春(5月~6月):新芽が成長し始めた頃が最適。
- 梅雨時期(6月~7月):湿度が高く、発根しやすい。
必要な道具
- 挿し木用の元気な枝
- 赤玉土や鹿沼土
- 発根促進剤(ルートンなど)
挿し木の手順
- 枝を10~15cmでカットし、下の葉を取り除く。
- 切り口を発根促進剤につける。
- 湿らせた土に挿し、半日陰で管理。
- 1~2ヶ月で発根し、新しい葉が出たら植え替え。
成功のコツ
- 若い枝を使うと発根しやすい。
- 土が乾燥しないように水やりをしっかり。
取り木による増殖方法
取り木とは?
取り木は、木の幹の一部を剥がし、そこから根を出させて新しい株を作る方法です。挿し木よりもしっかりした樹形を作りやすいのが特徴です。
適切な時期
- 春(5月~6月):発根しやすい。
必要な道具
- ナイフ(皮を剥がす)
- ミズゴケ(発根を促す)
- 発根促進剤
- ビニール袋やラップ
取り木の手順
- 幹の皮を1~2cm幅で剥がす。
- 発根促進剤を塗る。
- 湿らせたミズゴケを巻き、ビニールで覆う。
- 1~2ヶ月で根が出たら切り取り、植え替え。
成功のコツ
- ミズゴケを乾燥させない。
- 幹の皮をしっかり剥がす。
挿し木・取り木・実生の比較
- たくさん増やしたい場合は「実生」や「挿し木」。
- しっかりとした幹を持つ盆栽を作りたいなら「取り木」。
もみじの盆栽は 実生・挿し木・取り木 の3つの方法で増やすことができます。
- 実生は時間がかかるが、しっかりした根張りの盆栽が作れる。
- 挿し木は簡単で、大量に増やすのに適している。
- 取り木は確実に発根しやすく、立派な幹の盆栽が作れる。
それぞれの方法の特徴を理解して、自分に合ったやり方でもみじの盆栽を増やしてみましょう!
よくある失敗とトラブルシューティング
もみじの盆栽は美しく育てる楽しみがある一方で、初心者が陥りやすい失敗やトラブルもあります。ここでは、よくあるミスとその対処法を紹介し、失敗してもリカバリーできる方法を解説します。
初心者がやりがちなミスと対処法
剪定しすぎる(枝を切りすぎてしまう)
症状:枝を短く切りすぎてしまい、新芽が出なくなる。
原因:適切な剪定のタイミングを知らずに強剪定してしまう。
対策:
✅ 剪定は春(芽吹き前)か冬(休眠期)に行う。
✅ 一度に切りすぎず、段階的に剪定する。
✅ 芽が出る節を残して剪定する(完全に切ると枝が枯れることも)。
水やりのミス(水切れ・過湿)
▶ 水切れの場合
症状:葉が乾燥してチリチリになり、枝が弱る。
原因:夏場の水切れや、朝夕の水やり不足。
対策:
✅ 朝と夕方の2回水やりをする(特に夏)。
✅ 鉢の乾燥具合を確認し、適宜霧吹きで葉水を与える。
▶ 過湿の場合(根腐れ)
症状:葉が黄色くなり、根が黒ずんで腐る。
原因:水を与えすぎて土が常に湿っている。
対策:
✅ 土の表面が乾いてから水をあげる(乾燥と給水のバランスを取る)。
✅ 鉢の底に排水穴があるか確認し、水はけを良くする。
✅ 根腐れが進んでいる場合は、植え替えをして健康な根だけを残す。
病気(うどんこ病・黒星病・炭そ病)

症状:葉に白い粉(うどんこ病)や黒い斑点(黒星病)、枯れ(炭そ病)が出る。
原因:風通しが悪い、湿気が多い、病原菌が繁殖。
対策:
✅ 風通しを良くするために、密生した枝を剪定する。
✅ 殺菌剤(ダコニール・ベンレート)を予防的に散布。
✅ 病気の葉をすぐに取り除き、枯葉を放置しない。
害虫(アブラムシ・ハダニ・イラガ

▶ アブラムシ
症状:新芽や葉の裏に群がり、成長を阻害する。
対策:
✅ 手で取り除くか、水で洗い流す。
✅ ベニカスプレーやオルトランを散布。
▶ ハダニ
症状:葉の色が白っぽくなり、弱々しくなる。
対策:
✅ 霧吹きで葉水を与え、乾燥を防ぐ。
✅ ダニ太郎やアーリーセーフなどの薬剤を散布。
▶ イラガ(毛虫)
症状:葉を食害し、大量発生すると丸坊主になる。
対策:
✅ ピンセットで取り除き、殺虫剤(スミチオン)を散布。
✅ 発生しやすい時期(夏~秋)は定期的にチェックする。
失敗したときのリカバリー方法
枝を剪定しすぎた場合
対策:
✅ 春の成長期に新芽が出るのを待つ(焦らない)。
✅ 枝を完全に切り落とさず、芽が出る可能性のある部分を残す。
✅ 剪定後に肥料を与えすぎない(回復の妨げになる)。
水切れで葉がチリチリになった場合
対策:
✅ すぐに鉢ごと水に浸けてたっぷり吸水させる(30分程度)。
✅ 葉水をして湿度を高め、直射日光を避ける。
✅ 次回からの水やりの頻度を調整する。
根腐れで元気がない場合
対策:
✅ 鉢から出して、黒く傷んだ根を剪定する。
✅ 新しい用土(赤玉土+桐生砂)で植え替える。
✅ 1週間ほどは水やりを控えめにして様子を見る。
葉が枯れる原因と対処法
原因 | 症状 | 対策 |
---|---|---|
水切れ | 葉が乾燥し、チリチリになる | すぐに水を与え、日陰で管理 |
過湿・根腐れ | 葉が黄色く変色し、しおれる | 水はけの良い土に植え替え |
日焼け | 葉が茶色く焼ける | 半日陰で管理、遮光ネット使用 |
病気(うどんこ病・炭そ病) | 葉に白い粉や黒い斑点が出る | 殺菌剤を散布、風通しを良くする |
紅葉がうまくいかない場合の改善策
症状:秋になっても紅葉せず、緑色のまま枯れる。
原因と対策:
✅ 日当たりが不足している → 9月以降はしっかり日光に当てる。
✅ 水を与えすぎている → 紅葉前はやや乾燥気味に管理。
✅ 夜間の気温が高すぎる → できるだけ屋外で冷気に当てる。
最後に
もみじの盆栽は、四季折々の変化を楽しめる魅力的な植物です。
美しい紅葉を楽しむためには、適切な剪定・水やり・環境管理を行い、年間を通じたお手入れが大切です。
もみじは樹形もいろいろ楽しみやすい樹種だと思います。

春の新緑、夏の涼しげな葉、秋の紅葉、冬の枝ぶり… 四季折々の表情を楽しみながら、あなただけのもみじを育ててみてください! 🍁✨