盆栽の10月は何をする?秋肥・水やり・剪定・針金かけと樹種別の手入れ

盆栽いろいろ

10月は、盆栽にとって秋の生育を仕上げながら、少しずつ冬越しに向けた準備を始める月です。

9月に暑さが落ち着いて再び動き始めた盆栽も、10月になると朝晩の気温が下がり少しずつ休眠へ向かっていきます。

とはいえ、「10月になったから水を減らす」「全部の盆栽を剪定する」という管理ではありません。

僕が10月に特に意識しているのは、鉢土の乾き方、樹の生育状態、樹種を見ながら作業を変えることです。

実際、10月は僕も肥料、雑木の剪定、針金かけ、挿し木など、いろいろな作業をしています。

ただし、全部の鉢に同じことをしているわけではありません。

この記事では、10月の水やり、秋肥、剪定、古葉取り、葉すかし、針金かけ、秋挿し、種採り、植え替え、冬支度までまとめます。

この記事でわかること
  • 10月に確認しておきたい盆栽の作業
  • 10月の水やりと秋肥の考え方
  • 剪定・古葉取り・葉すかし・針金かけをする樹種
  • 10月にできる挿し木・種採り・植え替え
  • 松柏・雑木・花物・実物それぞれの管理ポイント
  • 冬越しに向けて10月から準備しておきたいこと

※ 棚場の環境や鉢の大きさなどによっても、管理方法は変わりますのでしっかり盆栽を観察しながら調整してください。このブログでは3〜4号鉢の小品盆栽を想定しています。

  1. 10月の盆栽は「秋の充実期から冬支度へ」の時期
    1. 9月の秋の生育期から何が変わる?
    2. カレンダーだけでなく気温と樹の状態を見る
  2. 10月に確認したい盆栽の作業一覧
  3. 10月の水やり|夏と同じペースで与えない
    1. 気温が下がると鉢土の乾き方も変わる
    2. 秋でも小鉢や実物は水切れに注意
  4. 10月の肥料|秋肥で冬越しと翌春に備える
    1. 9月に再開した肥料を樹の状態を見ながら続ける
    2. 若木・枝作り中・完成木で肥料の与え方を変える
    3. 弱っている木には無理に肥料を与えない
  5. 10月の剪定|切る枝と残す枝を見極める
    1. 秋に伸びた徒長枝を整理する
    2. 雑木は紅葉・落葉の状態を見ながら剪定する
    3. 太らせたい枝は切らずに残す選択肢もある
  6. 10月は古葉取り・葉すかし・針金かけの時期でもある
    1. 黒松・赤松などは葉すかしの時期を確認する
    2. 五葉松は古葉切りを行う
    3. 真柏などは針金かけで樹形を整える
    4. 以前かけた針金の食い込みも確認する
  7. 10月にできる繁殖・素材作り|挿し木と種採り
    1. 秋に挿し木できる樹種もある
    2. 秋は実生用の種を採る楽しみもある
  8. 10月の植え替え|秋にできる樹種だけ行う
    1. 秋の植え替えができる盆栽もある
    2. すべての盆栽を10月に植え替えない
  9. 10月は日当たりを確保して紅葉・実姿を楽しむ
    1. 夏の遮光から秋の日当たりへ切り替える
    2. モミジ・カエデなどの紅葉を楽しむ
    3. 実物盆栽は実の状態を確認する
  10. 実物盆栽は鳥害と実の負担にも注意する
    1. 梅もどきなどは鳥害対策をする
    2. 鑑賞後は樹の状態を見て実を整理する
  11. 10月も病害虫のチェックを続ける
    1. 葉裏・枝・幹をチェックする
    2. 落ち葉や枯れ葉を放置しない
    3. 薬剤は発生状況と対象害虫・病気を確認して使用する
  12. 冬越しに向けて棚場の準備を始める
    1. 冬の置き場所を考えておく
    2. 鉢の汚れ・雑草・枯れ葉を整理する
    3. 寒さに弱い樹の種類を確認しておく
  13. 樹種別|10月の主な管理ポイント
    1. 松柏類|黒松・赤松・五葉松・真柏など
    2. 雑木類|モミジ・カエデ・ケヤキなど
    3. 花物類|サツキ・長寿梅など
    4. 実物類|姫リンゴ・ピラカンサ・梅もどきなど
  14. 10月の盆栽管理でやりすぎない方がよいこと
  15. 10月の盆栽管理チェックリスト
  16. 10月の盆栽についてよくある質問
  17. まとめ|10月は秋の作業を楽しみながら冬に備える

10月の盆栽は「秋の充実期から冬支度へ」の時期

9月の秋の生育期から何が変わる?

9月は残暑が落ち着いたところから、夏の管理を少しずつ秋へ切り替える時期でした。

参考:盆栽の9月は「秋の生育期」

10月になると9月よりも朝晩の気温が下がり、鉢土の乾き方も少しずつゆっくりになります。

秋肥を続ける木がある一方、モミジなど紅葉を楽しむ完成木では肥料を切ることもあります。

剪定できる木、古葉を整理する松、針金をかけられる真柏なども出てくるため、10月はかなり作業の多い月です。

ただし、秋の生育期間がいつまで続くかは地域やその年の気候によって違います。

「10月=休眠」でもなければ、「まだ秋だから何でもできる」でもありません。

カレンダーだけでなく気温と樹の状態を見る

10月の管理で一番避けたいのは、カレンダーだけで作業を決めてしまうことです。

暖かい地域では10月になっても日中の気温が高く、鉢がよく乾くことがあります。

逆に冷え込みが早い地域では、落葉が進んで吸水量が減っている木もあります。

僕は季節の作業を切り替えるとき、

  • 鉢土がどれくらいの速さで乾くか
  • 新芽がまだ動いているか
  • 葉の色が変わり始めているか
  • 朝晩の気温が下がってきたか
  • 木に元気があるか

を見ています。

9月と同じように「10月になったから」ではなく、盆栽の変化を見て管理を変える方が失敗しにくいです。

10月に確認したい盆栽の作業一覧

最初に、10月に確認しておきたい作業をまとめます。

作業10月の考え方
水やり夏より乾きが遅くなるため、用土を見て判断
肥料樹種・樹勢・育成段階を見ながら秋肥
剪定徒長枝などを樹種に応じて整理
古葉取り・葉すかし松柏類など樹種ごとに実施
針金かけ適期になる樹種がある
植え替え秋植え替えできる樹種に限定
挿し木秋挿しできる樹種もある
種採りモミジなど実生素材を作る準備
日当たり夏の遮光から日照を確保する方向へ
病害虫葉裏・枝・幹を引き続き観察
実物管理水切れ・鳥害・実の負担を確認
冬支度棚場や鉢の状態を確認し始める

10月だから全部行うという意味ではありません。

特に剪定・植え替え・挿し木は、樹種を確認してから行う作業です。

盆栽の夏と10月の水やりと肥料の管理の違いを比較した図

10月の水やり|夏と同じペースで与えない

気温が下がると鉢土の乾き方も変わる

夏の間は朝に水をやっても、夕方にはカラカラになっていた鉢が多かったと思います。

10月になると気温が下がり、日照時間も短くなるため、鉢土が乾くまでの時間が少しずつ長くなってきます。

盆栽の水やりは「10月は1日○回」と決めるより、用土が乾いたらたっぷり与えるのが基本です。

僕も朝に水やりをするとき、夏と同じ感覚ですべての鉢へ機械的に追加するのではなく、鉢の乾き方を見るようにしています。

特に雨の翌日や曇天が続いた日は、夏と同じペースで与えていると鉢の中が長時間湿ったままになることがあります。

参考:盆栽の水やり完全ガイド

秋でも小鉢や実物は水切れに注意

一方で、「秋になったから水を減らそう」と急に水やり回数を減らすのも危険です。

3〜4号の小品盆栽は土の量が少ないため、晴れて風が強い日は10月でも思った以上に乾きます。

また、姫リンゴ、カリン、梅もどき、まゆみなど、実を付けている盆栽も水切れには注意します。

気温だけでなく、

鉢の大きさ × 天気 × 風 × 樹種 × 葉や実の量

をまとめて見るのが10月の水やりのコツです。

10月の肥料|秋肥で冬越しと翌春に備える

9月に再開した肥料を樹の状態を見ながら続ける

9月に秋肥を再開した木は、10月も樹勢を確認しながら肥料を続けます。

秋の肥料は、春のように枝をどんどん伸ばすことだけが目的ではありません。

秋の生育期間に樹を充実させ、冬越しや翌春の芽吹きにつなげる意味があります。

僕も10月は肥料を与える時期として考えています。

9月の記事でも書いたように、僕は秋肥を始めるときにバイオゴールド オリジナルを少量から使っています。

ただし、「10月だから追加」と機械的に置くのではなく、すでに置いている肥料の残り方や木の状態も見ます。

参考:盆栽の秋肥について

若木・枝作り中・完成木で肥料の与え方を変える

同じ樹種でも、作っている段階によって秋肥の目的は変わります。

幹を太らせたい若木や素材木なら、生育を止めすぎず充実させたいところです。

枝作り中の木も、来春につながる芽や枝を充実させたいので、樹勢に合わせて肥料を続けます。

一方で完成木は肥料を効かせすぎると枝が太くなったり、節間が伸びたりしてせっかく作った細かな樹形を崩すことがあります。

モミジなど紅葉を楽しみたい完成木では、秋遅くまで強く肥料を効かせない管理もあります。

「秋肥=全鉢同じ量」ではなく、この木をこれからどう作りたいのかまで考えると管理しやすくなります。

弱っている木には無理に肥料を与えない

夏に葉焼けした木、水切れさせた木、根の状態が悪そうな木などへ、「冬の前だから栄養を付けないと」と多くの肥料を与えるのは避けた方が安全です。

肥料は弱った木を治す薬ではありません。

まず水やり、根の状態、日当たり、病害虫など、木が弱った原因を考えます。

樹勢が戻っていない場合は、無理に秋肥を効かせず様子を見ることも選択肢です。

10月の剪定|切る枝と残す枝を見極める

秋に伸びた徒長枝を整理する

10月は、夏から秋にかけて伸びた徒長枝を整理できる樹種があります。

特に輪郭から大きく飛び出している枝、樹形を乱す強い枝などは、木の状態を見ながら整理します。

ただし、単純に「長いから全部切る」のではありません。

僕は以前、荒皮真弓を作っていたとき、幹を太らせるために走らせていた枝を10月に早めに剪定しました。

目的は樹冠部分ばかりに力を使わせるのではなく、下の方から芽を吹かせて下枝作りにつなげることでした。

実際にその後、いくつか芽が吹いてくれました。

これは僕の作り方の一例で、さらに太らせたい木なら枝をそのまま走らせる選択肢もあります。

太らせるために枝を徒長させていた荒皮真弓の枝を剪定
伸ばしていた枝を切って幹から芽が出た荒皮真弓

雑木は紅葉・落葉の状態を見ながら剪定する

モミジやカエデなどの落葉雑木は、紅葉から落葉へ向かう時期です。

ただし、剪定の適期は樹種によって異なります。

カエデでは紅葉を楽しんだあとに小枝を整理することがあります。一方、モミジは紅葉中に無理に剪定せず、落葉後に枝の状態を確認して剪定する方法があります。

「落葉雑木だから10月に剪定する」と一括りにせず、樹種と紅葉・落葉の進み方を見て判断します。

太らせたい枝は切らずに残す選択肢もある

盆栽を作り始めたばかりのころは、樹形から飛び出した枝を見るとつい全部切りたくなります。

でも素材木や若木では、長く伸ばすことで幹や枝を太らせる「犠牲枝」として使っている場合があります。

枝を太らせたい、幹を太らせたいという目的があるなら、10月でもあえて切らない選択肢があります。

僕も柊木犀では、太らせるために頭を走らせたまま管理していたことがあります。

「今の形を整える剪定」と「将来の幹・枝を作るために伸ばす管理」は別物です。

太らせるために枝を徒長させた柊木犀

剪定に使うハサミで迷ったら、盆栽鋏や芽切鋏の選び方・使い分けも参考にしてください。

10月は古葉取り・葉すかし・針金かけの時期でもある

黒松・赤松などは葉すかしの時期を確認する

黒松では、芽切り後に伸びた二番芽が固まってくる秋に、葉数を調整する葉すかしを行うことがあります。10月に行う場合は、できるだけ早い時期が目安です。

強い芽では葉を少なめに、弱い芽では多めに残すなど、樹勢のバランスを見ながら調整します。

赤松も秋に葉すかしを行うことがありますが、10月なら前半までをひとつの目安とし、時期を逃した場合は無理に作業しない方が安全です。

初心者の場合は、「松だから10月に葉を全部抜く」と考えず、自分の木が芽切りをしているのか、樹勢はどうなのかまで確認してください。

五葉松は古葉切りを行う

五葉松では、10月ごろに前年葉を整理する古葉切りが行われます。

古葉を整理することで、フトコロまで日光や風が入りやすい状態にします。

黒松の葉すかしとは作業方法が異なり、古葉をハサミで切って整理する方法があります。

樹勢の弱い木では無理に多くの葉を減らさないようにします。

真柏などは針金かけで樹形を整える

真柏は10月に針金をかけて樹形を整えられる樹種のひとつです。

枝葉が混み合っている場合は、不要枝を整理しながら枝の向きを調整します。

僕自身も10月は針金を使うことがあります。

以前は柊木犀の若い素材に針金をかけ、幹に動きを付けました。

成長が非常に速い時期より針金が食い込みにくく、完全に冬の休眠へ入って枝が硬くなる前の時期に作業しやすいと感じています。

ただし、これは樹種によります。

参考:針金かけ

以前かけた針金の食い込みも確認する

新しく針金をかけることだけでなく、春や夏にかけた針金の確認も忘れないようにします。

成長して幹や枝が太ると、針金が樹皮へ食い込んできます。

特に若木や樹勢の強い木は太るのが早いため、気付いたときには針金跡が深く残っていた、ということがあります。

10月の棚場チェックでは、

「新しくかける針金」だけでなく「外すべき針金がないか」

も見ておきましょう。

10月にできる繁殖・素材作り|挿し木と種採り

秋に挿し木できる樹種もある

挿し木といえば春から梅雨ごろをイメージする人が多いと思います。

実際、それが代表的な挿し木シーズンです。

ただ、樹種や棚場の環境によっては秋に挿し木できるものもあります。

僕も10月には剪定した枝の一部を捨てず、挿し穂として使うことがあります。

以前、長良川もみじの挿し木を何度か試したとき、春〜梅雨の挿し木ではなかなか思うように活着しませんでした。

そこで10月中旬〜下旬ごろに秋挿ししてみたところ、翌春に芽が動き、梅雨ごろには発根を確認できた鉢がありました。

当時の記録では、挿したものの4割ほどが活着しています。

ただし、これはあくまで僕の棚場で長良川もみじを挿したときの結果です。品種、挿し穂、気温、冬越し環境によって結果は変わります。

秋挿しは、挿したあとすぐ冬が来るため、初めて挿し木をする場合は樹種ごとの適期を確認してから試してください。

参考:長良川もみじの挿し木

秋は実生用の種を採る楽しみもある

10月は紅葉を楽しむだけでなく、将来の盆栽素材を作るための種を探すのも面白い時期です。

代表的なのがモミジです。

モミジは秋に成熟した種を採り、そのまま播く「取り播き」をしたり、乾燥させないよう適切に保存して春に播いたりできます。

種から始めると完成まで何年もかかりますが、発芽したばかりのころから曲を付けたり、根張りを考えたりできます。

時間はかかりますが素材から自分で作ってみたい人には面白い育て方です。

自分で育てているモミジに種が付いていたら紅葉だけでなく種にも注目してみてください。

※公園や他人の所有地など、自分の管理地以外で種を採取する場合は、採取してよい場所か確認してください。

参考:もみじ盆栽の育て方

10月の植え替え|秋にできる樹種だけ行う

秋の植え替えができる盆栽もある

盆栽の植え替えは、基本的には春の芽出し前に行う樹種が多いです。

ただし、一部には秋に植え替えできる樹種もあります。

例えばピラカンサや姫リンゴなど、秋に植え替えが行われる樹種があります。

ただし、秋に植え替えできるからといって、すべての木に適した時期という意味ではありません。樹種や樹勢を確認して判断します。

「春に植え替えできなかったから10月に全部やろう」ではなく、樹種ごとに適期を確認してください。

すべての盆栽を10月に植え替えない

初心者の場合は、秋だから植え替えシーズンと覚えない方が安全です。

一般的な雑木類なら、春の芽出し前まで待った方が分かりやすいケースも多いです。

特に大きく根を切る植え替えは木への負担も大きくなります。

樹種が分からない、適期に自信がない場合は無理に10月に植え替えず、翌春まで待つことも選択肢です。

参考:盆栽の植え替え

10月は日当たりを確保して紅葉・実姿を楽しむ

夏の遮光から秋の日当たりへ切り替える

真夏は葉焼けや鉢の高温化を防ぐため、遮光していた棚場も多いと思います。

暑さが落ち着いてきたら、盆栽を徐々に日光へ戻していきます。

秋も真夏と同じ遮光を続けていると、必要以上に光を遮ってしまう場合があります。

ただし、10月でも強い日差しが続く地域や、夏に葉焼けして弱っている木は急に環境を変えません。

遮光ネットを一気に外すのではなく、天候と葉の状態を見ながら調整します。

モミジ・カエデなどの紅葉を楽しむ

秋の雑木盆栽の大きな楽しみが紅葉です。

モミジやカエデなどは、気温が下がってくると少しずつ葉の色が変化していきます。

夏に葉焼けさせてしまうと、秋になっても葉先が枯れた状態のままになるため、きれいな紅葉にならないことがあります。

僕も以前、夏にかなり葉焼けさせてしまい、秋の紅葉をあまり楽しめなかった年がありました。

そんな年もあります。

きれいな葉が残っている木は、秋の日差しや朝晩の冷え込みを受けながら変化していく姿を楽しみたいところです。

実物盆栽は実の状態を確認する

姫リンゴ、梅もどき、ピラカンサ、老爺柿、まゆみなどは、10月になると実姿がかなり目立つようになります。

色付き方だけでなく、

  • 実がしわしわになっていないか
  • 枝が実の重さで下がりすぎていないか
  • 水切れしていないか
  • 鳥に狙われていないか

も確認します。

姫リンゴや梅もどきなどが色付いてくると棚場も一気に秋らしくなります。

作業の合間に実姿を眺めるのもこの時期の楽しみです。

実物盆栽は鳥害と実の負担にも注意する

梅もどきなどは鳥害対策をする

秋になって実が赤く色付いてくると、鳥に見つかりやすくなります。

特に梅もどきなどは、気付いたら実が一気になくなっていることがあります。

せっかく育てた実を鑑賞したい場合は、防鳥ネットなどで物理的に守る方法があります。

ただしネットを使う場合は、枝先や実に引っ掛けないよう注意します。

鑑賞後は樹の状態を見て実を整理する

実物盆栽は、小さな樹に多くの実を付けた状態を長く続けると、樹への負担になることがあります。

特に小品盆栽では、樹に対して実の割合がかなり大きくなることがあります。

秋いっぱい楽しんだからといって、必ず10月中に全部外す必要はありません。

ただ、木が弱っている、実を付けすぎている、葉が少ないといった場合は、鑑賞期間にこだわりすぎず実を減らすことも考えます。

「できるだけ長く実を残す」より、樹の状態を見ながら来年へつなげることを優先します。

10月も病害虫のチェックを続ける

葉裏・枝・幹をチェックする

涼しくなったからといって、病害虫のチェックを終わらせる必要はありません。

水やりのときに、

葉裏、枝の分かれ目、幹、古葉の間

などを確認します。

ハダニやカイガラムシなどは、小さなうちは見落としやすいです。

特に松柏類は葉が細かく、内側に害虫が隠れていても気付きにくいので注意しています。

参考:初心者向け盆栽の病害虫対策

落ち葉や枯れ葉を放置しない

紅葉や落葉が始まると、棚場の上や鉢の周囲に枯れ葉が増えてきます。

落ち葉が溜まっている場所は湿気がこもったり、害虫の隠れ場所になったりすることがあります。

水やりのついでに、鉢の上や棚場の枯れ葉を取っておくと、冬前の掃除も楽になります。

薬剤は発生状況と対象害虫・病気を確認して使用する

病気や害虫を見つけたからといって、とりあえず手元にある薬剤を散布するのは避けます。

殺虫剤と殺菌剤では目的が違いますし、薬剤によって使用できる植物や対象病害虫、希釈倍率、使用回数なども違います。

使用するときは、必ず製品ラベルの適用作物・対象病害虫・使用方法などを確認してください。

冬越しに向けて棚場の準備を始める

冬の置き場所を考えておく

10月の時点で、すべての盆栽を冬囲いしたり、軒下へ移動したりする必要はありません。

モミジなど、秋の冷え込みに当てながら紅葉や休眠へ向かわせる樹種もあります。

ただ、寒くなってから慌てないよう、

「この木は冬もこの場所で大丈夫か」

「寒さに弱い木はどこへ移動するか」

を考えておく時期です。

鉢の汚れ・雑草・枯れ葉を整理する

春から夏にかけて放置してしまった雑草や、鉢の周囲の汚れ、棚場に溜まった枯れ葉なども少しずつ整理していきます。

鉢数が多いと、寒くなってから一気に片付けるのは大変です。

僕も10月の過ごしやすい日に、水やりのついでに雑草や枯れ葉を少しずつ片付けています。

寒さに弱い樹の種類を確認しておく

盆栽はすべて同じ耐寒性ではありません。

落葉雑木、松柏類、暖地性の樹種などによって寒さへの強さが違います。

初めて冬越しする木がある場合は、最低気温が下がり始める前に、その樹種の冬越し方法を確認しておきましょう。

10月は「冬囲いを始める月」というより、冬越しで慌てないための準備を始める月と考えています。

樹種別|10月の主な管理ポイント

10月の盆栽管理を松柏類・雑木類・花物類・実物類に分けた樹種別のポイント

松柏類|黒松・赤松・五葉松・真柏など

松柏類は、樹種によって10月の作業内容がかなり違います。

黒松は葉すかし、赤松も葉すかしや古葉の整理、五葉松は古葉切り、真柏は針金かけなどが作業候補になります。

秋肥も木の状態を見ながら続けます。

僕の棚でも黒松は葉の状態、五葉松は古葉、真柏は枝や針金というように、樹種によって見るところを変えています。

雑木類|モミジ・カエデ・ケヤキなど

雑木類は、紅葉から落葉へ向かう季節です。

モミジは紅葉を楽しみながら水切れに注意し、カエデは紅葉後の剪定を検討します。

ケヤキなどは、強く飛び出した枝があれば整理する程度にして、必要以上に触らない木もあります。

モミジに種が付いていれば、実生素材を作るために種を採るのも10月ならではの楽しみです。

花物類|サツキ・長寿梅など

花物盆栽では、来年の花芽を意識します。

夏までに花芽が作られている樹種では、10月に強く切るとせっかくの花芽を落としてしまう可能性があります。

サツキでは秋の芽すかしや軽い針金かけをする場合があります。

長寿梅なども、何でも剪定するのではなく、花芽や樹勢を見ながら整理します。

花を楽しむ完成木と、樹形作りを優先する若木では管理を分けましょう。

実物類|姫リンゴ・ピラカンサ・梅もどきなど

実物盆栽は、10月の棚場で最も秋らしさを感じさせてくれるグループです。

姫リンゴやピラカンサ、梅もどきなどは、まず実姿を楽しみます。

一方で、小さな鉢で実を付けているため、水切れや鳥害には注意します。

ピラカンサや姫リンゴでは秋植え替えができる場合もありますが、実を付けた木へ無理な作業を重ねないようにします。

せっかく付いた実なのでできるだけ長く楽しみたいところですが、木が弱っているなら実を減らすことも考えます。

特に小品盆栽では実の数だけでなく葉の状態や水の吸い方も見て判断します。

10月の盆栽管理でやりすぎない方がよいこと

10月は作業できることが多いので、逆に「やりすぎ」に注意したい月でもあります。

夏と同じ感覚で水やりし続けない。
気温が下がれば鉢の乾きも遅くなります。回数ではなく用土を確認します。

弱っている木へ一律に秋肥を与えない。
夏越しで弱った木は、まず原因を確認します。

樹種を確認せず強く剪定しない。
紅葉・落葉時期や花芽の位置は樹種によって違います。

すべての盆栽を植え替えない。
秋植え替えできる樹種に限定します。

すべての樹種を秋挿ししない。
僕の棚場で秋挿しがうまくいった木はありますが、すべての樹種へ使える方法ではありません。

冬越し準備を早くやりすぎない。
まだ秋の日光や冷え込みに当てたい木まで、早く保護しすぎないようにします。

僕も10月になると「あれもやっておこう」と作業を増やしたくなりますが、木によっては何もしない方がいいこともあります。

棚場を見ながら、今必要な作業だけを選ぶようにしています。

10月の盆栽管理チェックリスト

最後に棚場を一周しながら確認してみましょう。

チェック確認すること
□ 水やり夏より鉢の乾きが遅くなっていないか
□ 肥料秋肥を続ける木・控える木を分けたか
□ 剪定徒長枝や不要枝を整理する必要があるか
□ 松柏古葉取り・葉すかしの対象になっているか
□ 針金新しくかける木・食い込んでいる木がないか
□ 挿し木剪定枝を挿し穂に使える樹種か
□ 種モミジなどに成熟した種が付いていないか
□ 植え替え秋植え替えできる樹種か
□ 日当たり夏の遮光を続けすぎていないか
□ 実物水切れ・鳥害・実の付きすぎはないか
□ 病害虫葉裏・枝・幹に異常はないか
□ 棚場雑草・枯れ葉・鉢の汚れを整理したか
□ 冬支度寒さに弱い樹種を把握したか

僕の場合も、すべての鉢に同じ作業をするわけではありません。

水やりや針金の食い込みなど棚全体を見ておきたい項目と、松の葉すかしや実物の管理など樹種ごとに確認する項目を分けています。

10月の盆栽についてよくある質問

Q
盆栽は10月も肥料を与えますか?
A

健全に生育している木なら、10月も秋肥を続ける場合があります。

ただし、若木・完成木・紅葉を楽しむ木・弱っている木では与え方が違います。

「10月だから全鉢へ同じ肥料」という管理は避け、樹勢と育成目的に合わせます。

Q
10月は毎日水やりが必要ですか?
A

毎日と決めず、鉢土が乾いたかを見て判断します。

10月は夏より乾きが遅くなりますが、3〜4号の小品盆栽は晴天や強風の日には1日で乾くこともあります。

水やり回数より「鉢が乾いているか」を優先します。

Q
10月に剪定しても大丈夫ですか?
A

樹種と剪定の目的によります。

雑木の徒長枝整理やカエデなどでは紅葉を楽しんだあとの小枝剪定を行う場合があります。

一方、花芽を持っている花物などでは、剪定すると翌年の花を減らしてしまうことがあります。

樹種を確認してから切りましょう。

Q
10月に植え替えても大丈夫ですか?
A

秋植え替えできる樹種なら可能ですが、すべての盆栽に向く時期ではありません。

ピラカンサや姫リンゴなど、秋に植え替えできる樹種があります。

初心者の場合、樹種の適期が分からなければ無理に10月に植え替えず、春まで待つ方が分かりやすいケースもあります。

Q
10月でも挿し木できますか?
A

樹種によっては秋挿しできます。

僕は長良川もみじを10月中旬〜下旬ごろに挿し、翌年に発根を確認した経験があります。

ただ、秋挿しはそのまま冬越しすることになるため、最初に樹種ごとの適期を確認してください。

まとめ|10月は秋の作業を楽しみながら冬に備える

10月の盆栽は、秋の生育を仕上げながら冬へ向かい始める時期です。

水やりは夏と同じ回数にこだわらず、鉢土の乾きを確認します。

元気な木は秋肥を続け、雑木では徒長枝の整理、松柏では古葉取りや葉すかし、真柏などでは針金かけが作業候補になります。

さらに、樹種によっては秋挿しや種採り、秋の植え替えも楽しめます。

僕自身、10月は剪定や針金かけ、挿し木などで意外と棚場にいる時間が長くなります。

ただ、すべての鉢に作業が必要なわけではありません。

紅葉を待っているモミジもあれば、葉を整理したい松もあり、実を眺めているだけの木もあります。

水やりのときに一鉢ずつ様子を見ながら必要な木だけ手を入れる。

僕はそんな感じで10月の盆栽を管理しています。

朝晩が冷えてきたら、そろそろ冬の置き場所も考え始めます。

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