盆栽を始めたばかりのころに迷いやすいのが、「剪定にはどんな道具を揃えればいいの?」ということです。
盆栽鋏、芽切鋏、又枝切り、根切りバサミ、癒合剤など、名前だけ見るといろいろあって少し難しく感じますよね。
僕も最初は、どの鋏を何に使うのかよく分からず、とりあえず使いやすそうなものから少しずつ揃えていきました。
ただ、実際に盆栽を育てていると、道具によって作業のしやすさや切り口のきれいさがかなり変わると感じます。
とはいえ、初心者のうちから高価な道具をすべて揃える必要はありません。
まずは基本となる盆栽鋏から始めて、必要に応じて又枝切りや根切りバサミなどを買い足していけば大丈夫です。
この記事では、盆栽初心者向けに、剪定に必要な道具の種類や選び方、使い分けを僕の実体験も交えながら紹介します。
「最初にどの剪定道具を買えばいいか分からない」「盆栽鋏と芽切鋏の違いを知りたい」「又枝切りや根切りバサミは必要なの?」という方の参考になれば嬉しいです。
盆栽を剪定する理由
盆栽らしい姿を作るうえで、剪定道具はとても重要です。
枝を切る作業は、単に不要な枝を取り除いたり、樹形維持のためだけではありません。
風通しを良くしたり、日当たりを改善したり、枝の流れを整えたり、将来の樹形を作ったりする大切な作業です。
盆栽鋏(剪定バサミ)|最初に揃える基本中の基本
盆栽鋏は、初心者が最初に揃えたい道具です。
細い枝を切ったり、伸びすぎた芽を整理したり、葉を切ったりと、出番がとても多いです。
小品盆栽を育てるなら、大きすぎないサイズの盆栽鋏が使いやすいです。
普通の園芸バサミでも切れないことはありませんが、盆栽鋏の方が刃先が細く、枝の込み入った部分にも入りやすいです。
選ぶときは、次のポイントを見ておくと失敗しにくいです。
最初の1本は、100円ショップの万能のものよりも、ある程度目的にあったものを選ぶのがおすすめです。
目的にあった切れ味の良い鋏は、作業が楽になるだけでなく、木への負担も少なくなります。
僕が使っているハサミはメインはこの2本です。最初に買ってまだ買い替えてません(^_^;)
こちらのさつき鋏は混み合った枝の間などにも入れやすく小枝の剪定や皐月の花柄剪定などに重宝しています。サイズ感も150mmが僕にはちょうどいい感じですが、手持ちの盆栽のサイズによっては180mmも良いと思います。

この大久保鋏は一番最初にホームセンターで購入した鋏ですが、重みがあり鋏を閉じたときにカチカチと音がなって何故か雰囲気が好きでずっと使っています。
周りでは盆栽にこの鋏を使ってる人はあまり見かけませんが、とにかく好きなんです。d( ̄  ̄)

使い終わった鋏は樹液や土などの汚れを落とし、水気を拭き取って十分に乾かします。防錆は各製品の説明に沿って行い、乾燥した場所で、刃先に触れないよう子どもの手の届かない所へ安全に保管してください。参考:アルスの保管方法・お手入れ案内
芽切鋏・小枝切り鋏|剪定バサミとの使い分け方
芽切鋏や小枝切り鋏は、より細かい剪定作業に使う道具です。
盆栽鋏よりも刃先が細く、細い枝や芽の整理に向いています。
枝が混み合っている部分や、葉の間にある小さな芽を切るときに便利です。
ただし、初心者のうちは盆栽鋏1本でもある程度対応できます。
最初から無理に揃える必要はありません。
使い分けのイメージとしては、以下のような感じです。
| 道具 | 向いている作業 |
|---|---|
| 盆栽鋏 | 基本的な剪定、細枝の整理 |
| 芽切鋏 | 新芽、細かい枝、葉の整理 |
| 小枝切り鋏(さつき鋏) | 混み合った枝の細部作業 |
小品盆栽をいくつか育てるようになると、「もう少し細かく切れる鋏が欲しい」と感じるタイミングが来ます。
そのときに芽切鋏を追加すると、作業のしやすさがかなり変わります。
又枝切り(またえだきり)|太い枝を根元からきれいに切る道具
又枝切りは、太めの枝を根元から切るための盆栽専用道具です。
普通の鋏で太い枝を無理に切ると、切り口が潰れたり、幹に傷をつけたりすることがあります。
又枝切りは、枝の付け根をきれいに処理できるよう設計された道具です。
切り口の形や対応する枝の太さは製品ごとに異なるため、メーカーが示す用途と切断能力を確認します。
不要な枝を元から抜くように切りたいときや、枝の付け根をきれいに処理したいときに便利です。
ただし、又枝切りは初心者が最初から必ず買う必要のある道具ではありません。
細い枝の剪定が中心であれば、最初は盆栽鋏で十分です。
太い枝を切る機会が増えてきたら、小さめの又枝切りを1本用意するとよいです。
盆栽専門店では小型の又枝切りも販売されており、価格は数千円から1万円台以上まで幅があります。
又枝切鋏の丸刃と直刃の違い
喜久和では、掲載しているNo.1206を「又枝切 豆」、No.1212を「丸刃又枝切 小」として販売しています。
※喜久和公式の商品名では、No.1206は「又枝切 豆」、No.1212は「丸刃又枝切 小」です。本記事の比較画像では、比較しやすいようNo.1206側を「直刃」と表記しています。
刃の形だけで「直刃はまっすぐ、丸刃はえぐる」と決めず、各製品の用途と切断能力を確認して選びます。
掲載している喜久和の又枝切 豆 No.1206は、メーカーが「幹から出た枝を元から切り取る」ための製品として案内しており、切った後の切り口はえぐった状態になると説明しています。丸刃又枝切 小 No.1212は、球形の刃でコブ切としても使える製品です。
| 掲載製品 | メーカーが示す用途 | 切断能力 |
|---|---|---|
| 喜久和 又枝切 豆 No.1206(150mm) | 枝元の切除。切り口はえぐった状態になる | 5mm以下の生木 |
| 喜久和 丸刃又枝切 小 No.1212(165mm) | 枝元の切除。球形の刃でコブ切にも使用 | 7mm以下の生木 |
この数値は上記製品の仕様で、直刃・丸刃全体の基準ではありません。切る枝や作業に合う製品を選び、製品の切断能力を超える枝を無理に切らないようにします。
参考:喜久和 又枝切 豆 No.1206・丸刃又枝切 小 No.1212

僕は両方持っていますが、剪定後の肉巻きのいい雑木は丸刃で松柏類は直刃を使うことが多いです。
丸刃の又枝切り

直刃の又枝切り
根切りバサミ|植え替え時の根切りに専用バサミが必要な理由
根切りバサミは、植え替えのときに根を切るための道具です。
「普通の剪定バサミで根も切ればいいのでは?」と思うかもしれませんが、できれば枝を切る鋏と根を切る鋏は分けた方がいいです。
根には土や砂が付いているため、枝用の鋏で根を切ると刃が傷みやすくなります。
せっかく切れ味のよい盆栽鋏を買っても、根切りに使うと一気に刃こぼれすることがあります。
植え替えをするなら、根切り専用の鋏を1本持っておくと安心です。
根切りバサミは、多少硬い根も切れるようにしっかりしたものを選びましょう。
小品盆栽であれば、あまり大きすぎるものより、手元で扱いやすいサイズが使いやすいです。
僕は根切りバサミにも大久保鋏を使っていますが、根切りバサミは安いので良いと思います。
のこぎり・接ぎ木ナイフ|中級者以上向けだが知っておきたい剪定道具
のこぎりや接ぎ木ナイフは、一般的には中級者向けですが、太い幹を扱う場合には初心者でも必要になることがあります。
太い幹や枝を切る場合、鋏や又枝切りでは対応できないことがあります。
そのようなときに盆栽用の小型のこぎりを使います。
接ぎ木ナイフは、接ぎ木や細かい切り込み作業に使います。
切れ味が鋭く、扱いにも注意が必要なので、初心者が最初から無理に揃える必要はありません。
僕は地元の刃物屋さんで購入しました。

まずは盆栽鋏、根切りバサミ、必要に応じて又枝切りを揃えれば十分です。のこぎりやナイフは、盆栽に慣れてから検討しましょう。
癒合剤(ゆごうざい)|剪定後の切り口を保護する便利なアイテム
剪定後の切り口に使う保護剤には複数の製品があり、目的や適用条件は製品ごとに異なります。使うかどうかは、樹種や剪定作業、切り口の状態、使用する製品の表示に合わせて判断します。すべての切り口に一律に使うものではありません。
初心者も、盆栽鋏と必ずセットで購入する必要はありません。予定している作業と製品の適用条件を確認し、必要な場合に用意します。
僕が使っているトップジンMペースト
登録農薬(殺菌剤)のトップジンMペーストを、僕はよく使います。大きすぎない切り口の場合にはさっと塗れて重宝します。
トップジンMペーストは登録農薬です。使用前に、メーカーの製品情報と最新ラベルで、適用作物、対象病害・使用目的、使用時期、使用方法、使用量、本剤の使用回数、有効成分を含む農薬の総使用回数を確認してください。盆栽という呼び方だけで、すべての樹種や用途に使えると判断しないでください。
大きい切り口に
又枝切りを使うような太い枝や幹を剪定した場合はこちらを使っています。
雑木用と松柏・さつき用があるため、製品説明を確認して樹種や作業に合うものを選びます。初心者もトップジンMペーストだけでよいと一律に決めず、必要な場合に用意してください。
よくある質問(FAQ)
盆栽初心者が最初に揃えるべき剪定道具は何ですか?
最初に揃えるなら、まずは 盆栽鋏 がおすすめです。
盆栽鋏があれば、細い枝を切ったり、伸びすぎた芽を整理したり、葉を整えたりと、基本的な剪定作業に対応できます。
癒合剤は、樹種や予定している作業、製品の適用条件を確認し、必要な場合に用意します。
最初から又枝切りや芽切鋏まで全部揃える必要はありません。盆栽を育てながら、必要に応じて少しずつ買い足していくのがおすすめです。
普通の園芸バサミを盆栽に使っても大丈夫ですか?
細い枝を少し切る程度なら、普通の園芸バサミでも使えないことはありません。
ただし、小品盆栽は枝が細かく混み合っていることが多いため、大きな園芸バサミだと狙った枝を切りにくいことがあります。
盆栽鋏は刃先が細く、細かい部分に入りやすいので、盆栽を続けるなら1本持っておくと作業がかなり楽になります。
盆栽鋏と芽切鋏は何が違いますか?
盆栽鋏は、基本的な剪定に使う万能タイプの鋏です。
細い枝を切ったり、伸びた芽を整理したり、葉を整えたりと、幅広く使えます。
一方、芽切鋏は刃先がより細く、細かい芽や小枝を切る作業に向いています。
初心者のうちは盆栽鋏1本でも十分ですが、枝が混み合った小品盆栽を扱うようになると、芽切鋏があると便利です。
又枝切りは初心者にも必要ですか?
又枝切りは、初心者が最初から必ず揃える必要はありません。
細い枝の剪定が中心であれば、まずは盆栽鋏で十分です。
ただし、太めの枝を根元からきれいに切りたい場合や、枝の切り跡をできるだけ目立たせたくない場合は、又枝切りがあると便利です。
小品盆栽なら、小型〜中型サイズの又枝切りを1本持っておくと使いやすいと思います。
又枝切りの丸刃と直刃はどちらを選べばいいですか?
刃の形だけで決めず、切る枝の太さや作業に合う製品を選びます。
掲載している喜久和No.1206は枝元を切り取る製品で、切った後の切り口はえぐった状態になります。切断能力は5mm以下の生木です。球形の刃を持つNo.1212はコブ切にも使え、切断能力は7mm以下の生木です。
これらは各製品の仕様です。直刃だから丈夫、丸刃だから仕上がりがよいと一括りにせず、製品説明を確認してください。
僕の場合は、雑木は丸刃、松柏類は直刃を使うことが多いです。
根切りバサミは剪定バサミと兼用できますか?
できれば兼用しない方がよいです。
根には土や砂が付いているため、枝を切る鋏で根を切ると刃が傷みやすくなります。
せっかく切れ味のよい盆栽鋏を使っていても、根切りに使うと刃こぼれや切れ味低下の原因になります。
植え替えをするなら、枝用の鋏とは別に、根切り専用の鋏を用意しておくと安心です。
癒合剤は必ず塗った方がいいですか?
毎回一律に塗るものではありません。樹種や剪定作業、切り口の状態に合わせて判断します。
使用する場合は、製品の適用条件と使い方を確認してください。
癒合剤の目的や適用条件は製品ごとに異なります。
トップジンMペーストは登録農薬です。最新ラベルで適用作物、対象病害・使用目的、使用時期、方法、使用量、本剤の使用回数と有効成分を含む農薬の総使用回数を確認して使います。
剪定道具はどこで買うのがおすすめですか?
盆栽鋏や又枝切りなどの専用道具は、盆栽専門店や通販サイトで購入するのがおすすめです。
ホームセンターでも園芸用の鋏は手に入りますが、盆栽専用の又枝切りや芽切鋏は置いていないこともあります。
一方で、作業トレーやブラシ、霧吹きなどの補助道具は、100円ショップやホームセンターでも十分揃えられます。
刃物類は専門店、補助道具は身近なお店で揃えると、費用を抑えながら始めやすいです。
まとめ|剪定道具は「最初から全部」ではなく、必要に応じて揃えれば大丈夫です
盆栽の剪定道具には、盆栽鋏、芽切鋏、又枝切り、根切りバサミ、のこぎり、接ぎ木ナイフ、癒合剤など、いろいろな種類があります。
こうして並べると「全部揃えないと盆栽を始められないのかな?」と思うかもしれませんが、まずは作業に合う 盆栽鋏 から始め、癒合剤は樹種・作業・製品の適用条件に合わせて必要な場合に用意します。
細かい枝や芽を切る作業が増えてきたら芽切鋏や小枝切り鋏、太めの枝を根元からきれいに処理したくなったら又枝切り、植え替えをするようになったら根切りバサミを追加していく流れで十分です。
特に小品盆栽では、道具のサイズ感も大切です。大きすぎる鋏は細かい枝の間に入りにくく、思った場所を切りにくいことがあります。
最初は、手に持ちやすく、細かい作業がしやすいサイズのものを選ぶと失敗しにくいです。
また、剪定道具は切れ味がとても大事です。切れ味の悪い鋏で無理に切ると、枝を潰してしまったり、木に余計な負担をかけたりします。
根切り専用の鋏を1本持っておくと安心です。
高級品をいきなり揃える必要はありませんが、メインで使う盆栽鋏だけは、ある程度しっかりしたものを選ぶのがおすすめです。
僕自身も、最初からすべての道具を揃えたわけではありません。盆栽を育てながら、「この作業にはこの道具があると便利だな」と感じたタイミングで少しずつ買い足してきました。
盆栽道具は、無理に一気に揃えるよりも、育てている木や作業内容に合わせて増やしていく方が楽しいです。
まずは基本の鋏から始めて、剪定に慣れながら、自分に合った道具を少しずつ揃えていきましょう。

